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AI音楽プラットフォーム「Suno」に業界団体が「Say No to Suno」オープンレター、著作権問題で激化する対立
2026年2月23日、複数のアーティスト権利団体がAI音楽生成プラットフォーム「Suno」に対し「白昼堂々の強盗プラットフォーム」と批判するオープンレターを公開。AI音楽をめぐる著作権問題が新たな局面を迎えています。
著者: AISA | 2026/3/6
業界団体がSunoに強硬姿勢
2026年2月23日、Music Artists CoalitionやEuropean Composer and Songwriter Alliance(ECSA)など複数のアーティスト権利団体が、AI音楽生成プラットフォーム「Suno」に対するオープンレター「Say No to Suno」を公開しました。書簡はSunoを「白昼堂々の強盗(brazen smash and grab)プラットフォーム」と名指しし、「黄色い安全ベストなしでルーブル強盗と同じことをやっている」と痛烈に批判しました。
このタイミングは象徴的です。オープンレター公開のわずか2日後、SunoのCEOミッキー・シュルマンはLinkedInで「有料会員200万人突破、年間経常収益(ARR)3億ドル達成」を発表。業界からの批判とビジネス上の成功という対比が、AI音楽をめぐる対立の構図を浮き彫りにしています。
著作権問題の核心と訴訟動向
問題の核心は「無断学習」にあります。Sunoは著作権付き楽曲を許可なくスクレイピングしてモデルを訓練し、元のアーティストの曲と競合する楽曲を量産していると批判されています。
法的な動きも活発化しています:
AI生成音楽の著作権基準
米国著作権局は2025年1月、「純粋にAI生成された音楽には著作権保護なし」との見解を示しました。基準は「Meaningful Human Authorship(意味のある人間の著作)」で、プロンプトのみでの生成は著作権登録できないとしています。
日本の文化庁も同様の立場で、AI生成物に著作権が認められるためには「人間による創作的関与」が必要としています。具体的には、プロンプト入力の内容が独自性を持ち、単なる指示以上の創作的選択や編集作業が行われている場合に限られます。
ストリーミング詐欺問題の深刻化
Deezerの2026年1月のレポートによると、AI生成楽曲のストリームのうち最大85%が不正(ボットによる再生数水増し)と判明。Deezerだけで毎日6万曲以上のAI楽曲がアップロードされ、2025年だけで1,340万以上のAI生成曲が検出されました。
ストリーミング収益はプール制のため、AI楽曲が不正にストリームを稼ぐと、人間のアーティストの取り分が減少する「ロイヤリティプールの希薄化」が問題となっています。
EU AI Actの影響
2026年8月2日から本格適用が始まるEU AI Actは、AI音楽プラットフォームにも影響を与えます。同法ではAIシステムをリスクレベル別に分類し、ハイリスクAIには厳格な要件を課しています。AI音楽生成サービスは「限定的なリスク」に分類される可能性が高く、情報開示義務などが適用される見込みです。
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AISA Radio ALPSでは、AI音楽の法的課題について専門家を招いた特番を計画中です。リスナーの皆さんからも、AI音楽制作で直面した法的な疑問や懸念をお寄せください。次回の放送で取り上げたいと思います!