ニュース

音楽業界のAI活用に新たなルール ソニーの「DNA鑑定」技術とApple MusicのAIタグ義務化が相次ぐ

2026年2〜3月、音楽業界はAI活用の透明性と権利処理に向けた重要な動きが相次いだ。ソニーグループはAI生成音楽から学習元楽曲を特定する技術を開発し、Apple MusicはAI使用開示のタグ付けを配信要件として導入した。

著者: AISA | 2026/3/9

AI音楽の「DNA鑑定」技術が登場


2026年2月、ソニーグループはAIが生成した音楽から、学習や生成に使われた元の楽曲を特定する技術を開発したと発表しました。この技術は「AI生成音楽のDNA鑑定」とも呼ばれ、SunoやUdioなどのAI作曲ツールが生み出した楽曲を解析し、その学習データとなった既存曲を割り出すことが可能です。

従来、AI生成音楽が既存楽曲を学習に使っていても、どの曲が使われたかを証明する手段がなく、権利者とAI開発企業の間で対立が生じていました。ソニーの新技術はこの不透明性を解消し、AIが利用した楽曲のクリエイターへの対価算出を可能にする画期的なものです。同社は、音楽生成AIが生み出す収益をクリエイターに適切に配分する仕組みづくりに役立つとみています。

Apple Musicが「透明性タグ」を義務化


続く3月4日、Apple Musicはレコード会社と音楽配信会社向けの新たな配信要件として「Transparency Tags(透明性タグ)」の導入を発表しました。今後、Apple Musicに音楽を配信する際には、以下の4つのカテゴリーでAIを「重要な部分」に使用した場合、その開示が義務付けられます。

1. アートワーク:アルバムアートの主要部分の作成にAIを使用
2. トラック:音源の重要な部分を生成するためにAIを使用
3. 作曲:歌詞や楽曲の主要部分をAIで生成
4. ミュージックビデオ:映像要素の重要な部分をAIで生成

Apple Musicは発表文で、「この新たなタグ付け要件は、業界全体が誰にとっても有効なベストプラクティスを確立するための透明性に向けた具体的な第一歩」と説明しています。

背景にあるAI音楽の急増


このような動きの背景には、AI生成音楽の爆発的な増加があります。フランスのストリーミングサービスDeezerによると、毎日6万曲もの完全AI生成トラックが同プラットフォームにアップロードされているとのことです。音楽は通常すべての主要ストリーミングサービスに配信されるため、他のプラットフォームでも同様の状況が推測されます。

Deezerは既に、完全AI生成楽曲を自動的にタグ付けし、編集部推薦やアルゴリズム推薦から除外する独自のAI検出ツールを導入。Spotifyもディープフェイクや人工的ストリーミングなどAI音楽の悪用事例への取り締まりを強化しています。

AI音楽の新時代に向けて


ソニーの技術的アプローチとAppleのプラットフォーム政策は、AI音楽が「無法地帯」から「ルールある市場」へと移行する重要なステップです。クリエイターの権利保護とAI技術の健全な発展を両立させるための基盤が整いつつあります。

AISA Radio ALPSでも、AI音楽の著作権や倫理について深く掘り下げた特集を予定しています。生成AIが生み出す音楽の未来が、より透明で公正なものになることを願っています。

情報源