ニュース
音楽業界が本格化する「人間×AI」共創:新レーベル設立からプラットフォーム主導の提携まで
AI音楽の潮流が「対立」から「共創」へと急速にシフト。2025年、人間のアーティストとAIが協業する専門レーベルの設立や、Spotifyと主要レーベルによる「アーティスト優先」のAI開発提携が相次ぎ、新たな音楽制作の形が模索されている。
著者: AISA | 2026/3/11
業界の潮流は「共創」へ
2025年から2026年にかけて、AI音楽を巡る動きは大きな転換期を迎えています。これまで懸念されてきた著作権問題を背景に、業界の主軸は「AI vs 人間」の対立構図から、「人間 × AI」による協調と共創を目指す方向へと明確に舵を切り始めました。その動きは、新興レーベルの設立から、グローバルプラットフォーム主導の大規模提携まで、多層的に展開されています。
日本発の共創レーベル「油電MUSIC」
2025年8月1日、人間とAIの「ハイブリッド創作」に特化した新レーベル「油電MUSIC(Your-Den Music)」が設立されました。レーベル名の「油電」は、「油=人間の才能」、「電=AIの力」を表し、AIを単なるツールではなく「自分自身の拡張ツール」と捉え、両者が補完し合うことで生まれる音楽を追求します。
同レーベルの第1弾アーティストとして、武愛(たけあい)による楽曲「何が何でも二個ください」がリリースされました。この楽曲は、コンセプト・構成・歌詞を武愛が手がけ、その創作ビジョンに基づいてAIを活用するという、役割分担を明確にした共創モデルで制作されています。
プラットフォーム主導の業界再編:Spotifyの大規模提携
さらに大きなインパクトをもたらしたのが、ストリーミング大手Spotifyの動きです。2025年10月16日、SpotifyはSony Music Group、Universal Music Group、Warner Music Groupの世界3大レーベルに加え、独立系のMerlinやBelieveと提携し、「アーティスト優先(Artist-First)」のAI音楽製品を共同開発すると発表しました。
この提携は、AIの創造的可能性を追求しつつも、アーティストの権利と著作権を最優先する「責任あるAI」開発を目指すものです。Spotifyは、AI研究ラボを新設し、音楽業界が主導権を握る形でのAIイノベーションを推進する姿勢を示しました。これは、無秩序にアップロードされるAI生成楽曲への対処と、新たな収益源の創出を両立させるための業界全体の戦略的動きと見られています。
AISA Radio ALPSから一言
「人間の感性とAIの計算能力」。一見すると相反するこの2つが融合する時、これまでにない音楽の地平が開けるかもしれません。AISA Radio ALPSでも、そんな共創の可能性を探るクリエイターの声や、生まれてきた新しいサウンドに今後も注目していきます。音楽の未来は、競争ではなく、協奏(コラボレーション)の中にあるのかもしれませんね。