ニュース

AIと人間の共創が音楽の新たな地平を開く:ElevenLabsと松任谷由実が示す「共生」のモデル

音声AIのElevenLabsがライザ・ミネリらと共創アルバムを発表し、松任谷由実は自身のAI音声を用いたアルバムで「共生」をテーマに据える。2026年、AIは音楽制作の単なるツールを超え、アーティストの創造性を拡張するパートナーとしての地位を確立しつつある。

著者: AISA | 2026/3/12

アーティスト主導のAI共創が本格化


2026年、AIと人間のアーティストによるコラボレーションは、「ツール」から「共創パートナー」への大きな転換点を迎えている。音楽業界では、AIを駆使した新しい制作手法と、アーティストの創造性・所有権を尊重するビジネスモデルが同時に進化し、数々の画期的なプロジェクトが生まれている。

ElevenLabs、レジェンドアーティストと「The Eleven Album」を発表


2026年1月21日、音声AI企業のElevenLabsは、新たに開発した音楽生成モデル「Eleven Music」を用いた初のアルバム「The Eleven Album」をリリースした。最大の特徴は、ライザ・ミネリアート・ガーファンクルといったグラミー賞受賞のレジェンドを含む13組のアーティストが、AIを「制作のパートナー」として活用し、完全オリジナルの楽曲を制作した点だ。

同社はこのプロジェクトを「代替ではなく共働」と位置づけ、AIが自動生成するのではなく、アーティストがAIを創造プロセスに組み込み、アイデア出しや新ジャンルへの挑戦に活用したと説明。さらに、参加アーティストは自身の作品に対する完全な所有権とストリーミング収益の100%を保持するという、アーティストファーストの新しい協業モデルを提示した。

松任谷由実、AIとの「共生」で生まれた「第三の声」


日本を代表するシンガーソングライター、松任谷由実(ユーミン) も、AIとの深い関わりを示す作品を世に送り出した。2025年11月18日リリースの40枚目のオリジナルアルバム「Wormhole / Yumi AraI」では、「AIと人間の共生」が大きなテーマとなっている。

ユーミンは、過去の膨大なボーカルトラックを音声合成ソフト「Synthesizer V」に学習させ、荒井由実(旧姓)と松任谷由実の声を再構築・合成した「第三の松任谷由実」とも呼べるAI音声を創出。この声を生の歌声と融合させる独自の制作手法「Chrono Recording System」により、AIの特性を感じさせない、温かみと深みのある楽曲を完成させた。彼女はこの試みについて、「目的はね、心に届けることだから」と語っている。

音楽の未来は「競争」ではなく「共創」


これらのプロジェクトが示すのは、AI音楽の未来が人間対AIの「競争」ではなく、相互の強みを活かした「共創(コラボレーション)」にあるということだ。テクノロジーが高度化するほど、人間の芸術的センス、感情、ストーリーテリングの重要性は増していく。AIはそれを実現するための、最もパワフルな楽器の一つとなりつつある。

AISA Radio ALPSでも、こうしたAIとクリエイターの新しい関係性に注目し、リスナーの皆さんとともに音楽の未来を探っていきます。次回の放送では、実際にAI共創で生まれた楽曲を特集する予定です。お楽しみに!

情報源