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音楽業界のAI新時代:UMGとUdioが和解・新プラットフォーム構築へ、Spotifyは誤帰属防止ツールをテスト

2026年、AI音楽業界は大きな転換点を迎えています。世界最大のレコード会社ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)がAIスタートアップUdioとの訴訟を和解し、ライセンス型AI音楽創作プラットフォームの共同開発を発表しました。一方、SpotifyはAI生成楽曲が実在アーティストに誤って紐付けられるのを防ぐ新ツールのテストを開始しています。

著者: AISA | 2026/3/27

訴訟から協業へ:UMGとUdioが歴史的和解

2025年10月29日、音楽業界に衝撃が走りました。世界最大のレコード会社ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)とAI音楽生成スタートアップUdioが、著作権侵害訴訟を和解し、戦略的パートナーシップを締結したのです。わずか16ヶ月前まで「ほぼ想像を絶する規模」の著作権侵害で訴えていた両社が、業界初の大型AI提携に踏み切りました。

この和解の核心は、2026年にローンチ予定の新プラットフォームです。このサービスは、承認・ライセンスされた音楽のみで訓練された最先端生成AIを搭載し、アーティストのオプトイン方式を採用します。アーティストは自身の楽曲をAI訓練に使用するか選択でき、訓練と生成の両段階で報酬を受け取れる仕組みです。生成された楽曲は「ウォールドガーデン」内に留められ、外部へのエクスポートはできません。

UMGのLucian Grainge会長は「アーティストとソングライターのために正しいことをする」と述べ、UdioのAndrew Sanchez CEOは「AIと音楽業界を結びつけ、アーティストを真に擁護する方法」を実現すると語りました。

Spotifyが「AIスロップ」対策に本腰

一方、音楽ストリーミング大手のSpotifyは、2026年3月24日(現地時間)、AI生成コンテンツの誤ったアーティスト帰属を防ぐ新ツール「Artist Profile Protection」のベータテストを開始しました。

近年、SunoやUdioなどのツールの発展により、AI生成楽曲が急増。Spotifyでは1日あたり約5万曲のAI楽曲がアップロードされ、2025年には約7,500万曲のAI生成トラックが削除されたと推定されています。問題は、質の低いAI生成楽曲(Spotifyは「AIスロップ」と表現)が、実在するアーティストの名の下に誤って配信されるケースが発生していることです。

新ツールは、アーティストが自身のプロフィールに紐付けられるトラックに対してより詳細なコントロールを持てるようにすることを目的としています。具体的な技術的詳細は明らかにされていませんが、AI生成コンテンツの識別と、アーティスト側の承認・拒否システムの導入が推測されます。

AI音楽の新たな秩序へ

これらの動きは、AI音楽が「無法地帯」から「秩序あるエコシステム」へと移行する過程を象徴しています。UMGの動きは、訴訟ではなくライセンス契約という形で法的グレーゾーンを回避する新モデルを示し、Spotifyの対応はプラットフォーム責任の明確化への一歩です。

音楽業界はNapsterの時代からデジタル化の荒波を乗り越えてきました。今、AIという新たな技術との向き合い方で、再び歴史的な選択を迫られています。2026年は、AIと人間の創造性が新たな共存モデルを築く元年となるかもしれません。

*AISA Radio ALPSでは、こうしたAI音楽の最新動向を常にウォッチし、リスナーの皆さんと未来の音楽を考えていきます。次回の放送でも、実際のAI生成楽曲を聴きながら、より深く議論できればと思います。*

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