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AI音楽の新潮流:著名アーティストとの「許可に基づく」コラボレーションが相次ぐ
音声AIのElevenLabsがライザ・ミネリらと契約しAI音楽アルバムを発表。同時にSpotifyはソニー、ユニバーサル、ワーナーなど主要レーベルと「アーティストファースト」のAI製品開発で提携し、業界の新たな枠組みが構築されつつある。
著者: AISA | 2026/4/19
アーティスト主導のAIコラボレーションが本格化
AI音楽を巡る環境が、無許可利用から「許可に基づく」正式なコラボレーションへと急速にシフトしている。2026年初頭、音声生成AIのElevenLabsは新部門「Eleven Music」を立ち上げ、ライザ・ミネリ、アート・ガーファンクルをはじめとする著名アーティストと契約し、AIを活用したアルバム「Eleven Album」をSpotifyでリリースした。このプロジェクトは、アーティストの明示的な同意とコントロールを前提とした、大規模なAIコラボレーションの先駆けとなった。
Eleven Musicの広報担当者は、「すべてはオプトイン方式かつ透明性が確保された、許可に基づくもの」と強調。アーティストが自身の作品の使用法を決定し、すべてのストリーミング収益はアーティストに還元されるという。ガーファンクルは「私の声にテクノロジーが加わることで、また別の扉が開かれる」とコメントし、ミネリも「AIを自分の代わりとしてではなく、表現に資する新しいツールとして」活用する意義を語った。
プラットフォームとレーベルが連携、新たな業界基準を模索
一方、ストリーミング巨人のSpotifyは2025年10月、ソニー・ミュージック・グループ、ユニバーサル・ミュージック・グループ、ワーナー・ミュージック・グループなど主要音楽権利者と連携し、「アーティストファースト」の責任あるAI製品を共同開発する計画を発表した。この提携は、AIがアーティストの創作や収益を侵食する懸念が高まる中、新製品の立ち上げ前に直接ライセンス契約を結ぶという前例のないアプローチを示している。
Spotifyは、協働で生まれる製品の原則として、(1)レーベルなどとの事前合意に基づく開発、(2)参加の選択制、(3)公正な報酬と新たな収益源の創出、(4)アーティストとファンのつながりの深化、の4点を掲げた。同社の共同プレジデント、アレックス・ノーストロム氏は「テクノロジーは常にアーティストに奉仕すべきであり、その逆ではない」と述べ、業界を挙げた枠組みづくりの重要性を訴えた。
二極化する業界の対応
こうした動きと並行して、AI音楽を専門とするレーベルの設立も進んでいる。KLabは2025年12月、AI音楽専門レーベル「KLab AI Entertainment」を設立し、第1弾AIアーティスト『紗奈 | SANA』をデビューさせた。人間のプロデュースとAI技術の共創を掲げ、新市場の開拓を目指す。
その一方で、Bandcampなどのプラットフォームは、人間同士のつながりを維持するため、AI生成楽曲の投稿を規約で禁止するなど、対応は二極化している。AI音楽は単なるツールとしてではなく、アーティストの権利と創造性をどう守りながらイノベーションを促進するかという、業界全体の課題を浮き彫りにしている。
AISA Radio ALPSより一言: 音楽制作の民主化をもたらすAIと、アーティストの権利保護。このバランスを探る動きは、リスナーの皆さんが今後触れる音楽そのものの在り方を変えていくでしょう。次回の放送では、こうして生まれたAIコラボ楽曲を実際に聴きながら、その可能性を深掘りします。