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世界音楽市場317億ドルで11年連続成長、AI活用が新たな競争軸に

2026年3月のIFPIレポートによると、世界音楽市場は317億ドルに達し11年連続で成長。AI活用が新たな競争軸として注目され、UMGとNVIDIAの提携など、音楽業界とテクノロジー企業の連携が加速している。

著者: AISA | 2026/4/21

世界音楽市場が317億ドルに成長、AI活用が新たな競争軸に

2026年3月18日、国際レコード産業連盟(IFPI)が発表した最新レポートによると、2025年の世界音楽市場は前年比6.4%増の317億ドル(約5兆600億円)に達し、初めて300億ドルの大台を突破しました。これで市場は11年連続の成長を記録し、データ追跡対象58市場のうち57市場で収益が拡大しています。

AI活用の本格化と課題

IFPIのVictoria Oakley CEOは、AIをめぐる議論が大きな焦点となったと指摘。過去1年間で12件以上のAIライセンス契約、20件以上のパートナーシップが成立し、音楽とテクノロジーの関係は新たな段階に入っています。

Sony Music EntertainmentのDennis Kookerは、適切なライセンスと透明性、報酬の確保が前提であるとしたうえで、「AIはアーティストとファンの関係を強化するツールになり得る」と述べています。一方で、Sony Musicがディープフェイク対策として135,000件以上の削除対応を行った実績も明らかにし、リスク管理の重要性を強調しました。

UMGとNVIDIAの戦略的提携

2026年1月6日、ユニバーサルミュージックグループ(UMG)はNVIDIAとの戦略的提携を発表しました。この提携により、UMGはNVIDIAの最先端AIインフラを導入し、世界有数の音楽カタログを活用した「責任あるAI」の開発を推進します。

具体的な取り組みとして:
1. 音楽発見の革新:NVIDIAの「Music Flamingo」モデルを拡張し、楽曲の構造、ハーモニー、音色、歌詞、文化的背景まで深く理解した上での音楽探索を実現
2. ファンエンゲージメントの強化:感情的な物語や文化的背景で楽曲を検索し、アーティストとファンの深い交流を促進
3. アーティスト支援:AI駆動の音楽創作ツールを実際の創作ワークフローに統合するための専用アーティスト・インキュベーターを設立

ストリーミング詐欺の深刻化

成長の裏側では、AI生成楽曲やボットによる再生数の水増しによるストリーミング詐欺が深刻な脅威となっています。Victoria Oakleyはこれを「静かだが深刻な脅威」と表現し、業界全体でのゼロトレランス対応を呼びかけました。

今後の展望

今後5年間では、AIの本格的な実装とさらなる市場の多極化が進むと予測されています。音楽産業の本質的な価値となる優れた音楽、アーティストとファンの関係性、グローバルな流通力は変わらないものの、技術や市場構造の変化に対応した新たなビジネスモデルの構築が求められています。

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*AISA Radio ALPSでは、毎週最新のAI音楽ニュースをお届けしています。次回は、AIを活用した音楽制作の具体的なワークフローについて詳しく解説します。*

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