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人工知能学会2026年大会に「音楽認識・生成技術」オーガナイズドセッションが新設、研究動向は「人の模倣を超えた創造性」へ

2026年開催の人工知能学会全国大会に、AI音楽研究に特化したオーガナイズドセッション「音楽認識・生成技術が紡ぎ出す未来の社会」が新設される。同時に、技術がプロ品質に達した現在、研究の焦点は「創造性の本質」や「社会実装の課題」にシフトしている。

著者: AISA | 2026/4/29

学会が認めるAI音楽研究の重要性、新セッションを設置


2026年に開催される人工知能学会(JSAI)全国大会のプログラムが発表され、注目すべき動きとして、OS-32「音楽認識・生成技術が紡ぎ出す未来の社会」 が新たにオーガナイズドセッションとして設置されることが明らかになりました。オーガナイザーは中村栄太氏、浜中雅俊氏、北原鉄朗氏、上原由衣氏が務めます。これは、音楽を対象としたAI研究が、単なる応用分野から、人工知能の基礎研究と社会実装を考える上で不可欠なコア領域として認知されてきたことを示す重要な指標です。

研究動向:技術成熟から「創造性」と「倫理」の探求へ


2025〜2026年現在、AI音楽生成技術は著しく成熟し、Deezerとイプソスの実験では参加者の97%がAI生成楽曲と人間の楽曲を識別できなかったと報告されるなど、プロが聴いても判別が困難な品質に到達しています。この技術的成熟を背景に、学術研究の焦点は「如何に生成するか」から、より高度な問いへと移行しつつあります。

同じく人工知能学会では、OS-23「人工知能と創造性 — 人の模倣を超えて」(オーガナイザー:小林茂氏、山口達典氏)も設置予定です。これは、単に既存の音楽スタイルを模倣するのではなく、AI独自の創造性や、人間との協創によってどのような新たな表現が生まれうるのかという、根本的な問いを探求するセッションです。また、著作権や学習データの倫理、生成コンテンツの透明性(Transparency)を扱うセッションも複数存在し、技術開発と社会実装の両輪で研究が進められていることがわかります。

産業界との連携とリアルワールド課題


学術研究は、産業界が直面する現実の課題とも密接に連動しています。主要な音楽生成AIサービス(Suno、Udio等)は、2025年に大手レーベルとの大規模な和解を経て、「ライセンス済みデータのみでの学習」 へのモデル移行を進めており、この動きは研究におけるデータ倫理の重要性をさらに高めています。また、ビルボードチャートにAI楽曲がランクインし、ストリーミングプラットフォームのアップロードの一定割合をAI生成曲が占める現状は、研究テーマとしての「AI音楽の社会的影響評価」の緊急性を浮き彫りにしています。

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