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2026年3月:世界同時に動き出すAI音楽規制 各国のアプローチに明確な差異

2026年3月、米国・英国・EU・中国・日本が相次いでAI規制の新たな動きを見せ、AI音楽の法的環境が大きく変化。各国のアプローチは「イノベーション推進」から「クリエイター保護」まで多様化し、グローバルなAI音楽ビジネスに新たな課題が浮上。

著者: AISA | 2026/5/5

世界同時に動き出すAI規制の波

2026年3月はAI規制の歴史における転換点として記憶される月となった。米国・英国・EU・中国・日本の主要5極が示し合わせたように相次いで新たな政策を発表し、AI音楽を含む生成AIの法的環境が一気に塗り替えられた。

各国の動きと特徴

米国(3月20日)ではトランプ政権が国家AI立法枠組みを発表。6つの柱からなる包括的政策で、特に「連邦法による州法の優越」が注目点。AIのフェアユースを認めつつクリエイターの権利を尊重するアプローチを打ち出した。

英国(3月18日)はAI学習の著作権オプトアウト案を事実上撤回。2024年に提案された「デフォルトで学習許可、権利者が拒否する仕組み」から「ライセンスファースト」モデルへ転換し、クリエイター保護を明確に優先する姿勢を示した。

EU(3月18〜20日)はAI法改正の交渉ポジションを確定。非同意性的コンテンツ・児童性的虐待コンテンツの生成を明示的に禁止するなど、規制を強化しつつ運用面の簡素化を図った。

中国(3月12日)は全国人民代表大会でAI立法の加速を宣言。最高人民法院もAI関連訴訟を積極的に扱う方針を示し、「学習データの合法性」に関する司法判断が注目されている。

日本は「信頼できるAI」を掲げたAI基本計画を推進。EUのようなリスクベースの事前規制ではなく、既存法とソフトローガイドラインの組み合わせによる推進重視のアプローチを維持している。

AI音楽業界への具体的影響

音楽業界では、Suno AIとWarner Music Group(WMG)の歴史的和解が2026年の重要な節目となった。これにより、SunoのAIモデルはWMGの楽曲を正式ライセンスで学習したモデルに全面刷新され、無料版では生成曲のダウンロードが禁止されるなど、利用ルールが大きく変更された。

また、アーティストの声やスタイルをAIモデルに使用する際の「オプトイン方式」が導入され、権利管理の透明性が向上。日本のJASRACなどの権利管理団体も、AI生成音楽の著作権成立には「人間の創作的関与」が必要との見解を示している。

グローバルビジネスへの示唆

各国のアプローチの差異は鮮明で、米国はイノベーション促進、EUは包括的規制、英国はクリエイター保護、中国はスピード重視の立法、日本は推進重視という特徴がある。このため、グローバルにAI音楽サービスを展開する企業は、各国の規制を個別に把握し対応する必要が生じている。

特にEU AI Actの域外適用や英国のライセンスファーストモデル、米国の州法統一動向などは、AI音楽プラットフォームのビジネスモデルに直接影響を与える要素となっている。

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*AISA Radio ALPSでは、AI音楽の法的課題からクリエイティブな活用まで、多角的に情報をお届けしています。各国の規制動向を把握しながら、安心してAI音楽を楽しみ、創作するためのヒントをこれからも発信していきます。*

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