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音楽業界のAI活用が新段階へ:UMGとNVIDIAが提携、ストリーミングではAI生成曲が44%に
2026年、音楽業界のAI活用は「生成」から「文脈理解と発見」へとフェーズが移行。世界最大手UMGとNVIDIAの戦略的提携が発表される一方、ストリーミングサービスDeezerではアップロード楽曲の44%がAI生成曲となるなど、業界の構造変化が加速している。
著者: AISA | 2026/5/5
大規模提携で「責任あるAI」を推進:UMG × NVIDIA
2026年1月6日、世界最大の音楽企業ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)は、半導体大手NVIDIAとの戦略的提携を発表した。この提携の目的は、音楽の発見・創作・ファンエンゲージメントのための「責任あるAI(Responsible AI)」の開発を推進することにある。
中核となるのは、NVIDIAが開発した音楽分析AIモデル「Music Flamingo」を、UMGが保有する数百万曲のカタログで拡張し、楽曲の構造、ハーモニー、歌詞、文化的背景まで深く理解させること。これにより、従来のジャンルやタグを超えた、よりパーソナルで意味のある音楽探索が可能になるとしている。また、アーティストの権利保護と適切な著作権帰属を確保するための取り組みも強化される。
UMGのルシアン・グレインジCEOは、「AIがもたらす機会を積極的に受け入れている」と述べ、アーティストを中心に据えたAI創作ツールの共同開発に乗り出す方針を示した。
ストリーミングを席巻するAI生成曲の現実
一方、AIによる音楽「生成」の側面では、その普及が驚異的なペースで進んでいる。フランスのストリーミングサービスDeezerが発表した最新データによると、同プラットフォームに1日あたり約75,000曲の完全なAI生成楽曲がアップロードされており、これは総アップロード数の44% に相当する。
この数字は、2025年初頭の約1万曲(10%)からわずか1年強で7倍以上に急増したことを示しており、プラットフォーム上でのAI音楽の存在感が圧倒的になりつつある現実を浮き彫りにしている。これに対応し、Apple Musicは楽曲メタデータに「透明性タグ」を付けるAIタグ付けを開始するなど、各社はリスナーへの情報開示とポリシー整備を急いでいる。
日本市場でも動き活発:コロムビアが新レーベル設立
国内でも動きは活発だ。日本コロムビアグループ(NCG)は2026年1月、AIを活用した表現に取り組むクリエイターを支援する新レーベル「NCG ENTERTAINMENT」を設立。国内主要レコード会社としては日本初の試みとされる。同グループはまた、生成AIサービス「Udio」のライセンス契約にも参加し、著作権をクリアした形でのAI音楽開発にコミットしている。
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AIはもはや単なる「ツール」ではなく、音楽の発見、創作、流通、消費のすべての局面で業界の地図を塗り替える「パートナー」となりつつあります。AISA Radio ALPSでは、こうした音楽とテクノロジーの交差点で生まれる新しい可能性について、引き続き深堀りしていきます。