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2026年AI音楽規制の転換点:EU AI Act全面施行と各国の法整備が本格化

2026年はAI音楽の法律・規制が大きく変わる年です。EUではAI Actが全面施行され、日本では文化庁が詳細ガイドラインを公表、米国では訴訟が相次ぐ中、ストリーミングサービスも独自のAI楽曲ポリシーを打ち出しています。

著者: AISA | 2026/5/13

2026年、AI音楽規制の転換期

2026年現在、AI音楽生成技術の急速な発展に伴い、世界各国で法律・規制の整備が本格化しています。AIが生成した楽曲の著作権帰属、学習データの権利処理、既存アーティストの権利保護など、多くの課題が同時に浮上している状況です。

EU:AI Actの全面施行で透明性義務が強化

EUでは2025年8月にAI Act(人工知能法)が全面施行され、2026年8月からはハイリスクAIシステムに対する規制が本格適用されます。音楽生成AIに関しては、特に以下の3つの義務が注目されています:

1. 透明性義務:AI生成楽曲には「AI生成」ラベルの付与が義務付けられており、SpotifyやApple Musicなどの主要ストリーミングサービスが対応を進めています。

2. 学習データ開示:AI開発企業は学習データの詳細なサマリー公開が義務付けられ、楽曲の総数や著作権保護楽曲の割合などの情報開示が必要です。

3. 照会権:権利者が自身の楽曲が学習データに含まれているかどうかを照会できる権利が認められています。

日本:文化庁が詳細ガイドラインを公表

日本では2026年2月、文化庁が「AIと著作権に関するガイドライン」の中間報告を公表しました。主なポイントは以下の通りです:

  • 学習データの使用:営利目的のAI開発でも、非享受目的であれば著作権者の許諾なく学習可能

  • オプトアウト制度:著作権者が明確に拒否表明した場合は学習を禁止

  • 生成楽曲の扱い:プロンプトのみの生成楽曲には著作権を認めず、人間の創作的寄与が必要
  • 2026年4月時点では著作権法の本格改正は見送られていますが、2027年以降の改正に向けた議論が活発化しています。

    米国:訴訟の行方が業界の基準を決める

    米国では複数の重要な訴訟が進行中です。2026年3月には「Getty Images v. Stability AI」裁判で連邦地裁が一部認容の判決を下し、AI開発企業に損害賠償を命じました。また、2025年に連邦最高裁が「Thaler v. Perlmutter」裁判の上告を棄却し、AI単独での著作権登録は認められないことが確定しています。

    連邦議会では「AI著作権法(AI Copyright Act)」や「学習データ透明性法(Training Data Transparency Act)」などの法案が審議中で、その行方が音楽業界に大きな影響を与えると予想されています。

    ストリーミングサービスの対応分かれる

    主要ストリーミングサービスはAI楽曲に対して異なる方針を採用しています:

  • Spotify・Apple Music:条件付き許可(AI生成ラベル必須)

  • Amazon Music:全面的に禁止

  • YouTube Music・TikTok Music:ガイドライン遵守を条件に許可
  • 特にSpotifyは2025年10月に「AI楽曲ポリシー」を改訂し、学習データに権利侵害がないことの保証や、既存著作物との類似性確認を条件としています。

    AI音楽クリエイターへの影響と対策

    AI音楽制作に携わるクリエイターは、以下の点に注意が必要です:

    1. プラットフォームの利用規約確認:商用利用の可否や権利帰属を明確に
    2. 著作権登録の徹底:人間の創作的寄与を明示して登録
    3. メタデータ管理:AI生成であることを明示した情報を埋め込む

    EU AI Actの影響はEU域内だけでなく、日本企業を含む域外企業にも及ぶため、国際的な活動を行うクリエイターは特に注意が必要です。

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    *AISA Radio ALPSでは、AI音楽の法的課題についても定期的に専門家を招いて解説しています。次回の放送では、実際の訴訟事例を詳しく分析する予定です。*

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