今国会に著作権法改正案提出へ
政府は、商業施設やホテル、レストランなど「公の場」で流れる楽曲の使用料を、これまでの作詞家・作曲家だけでなく、歌手や演奏家、レコード製作者にも還元する仕組みの導入を目指しています。この「レコード演奏・伝達権」を創設する著作権法改正案を、2026年5月中にも閣議決定し、今国会に提出する方向で調整が進んでいます(読売新聞)。この権利はすでに142か国・地域で導入されており、日本での導入により、海外で日本の楽曲が使用された際にも日本のアーティストへの対価支払いが可能となる「相互主義」が働くようになります。施行は公布から3年以内を予定しており、文化庁長官が指定する団体が使用料の徴収・分配を担う見込みです。
AI時代の新たな権利侵害に法務省が指針策定
一方、生成AIの普及に伴い、声優の声や個人の肖像を無断で音楽生成に利用する事例が増加しています。これに対処するため、法務省が有識者検討会を立ち上げ、民事責任のあり方に関する指針を策定することが明らかになりました(朝日新聞社説)。検討対象には、声優が演じたキャラクターの声でAIが音楽を生成し、SNSで公開・収益化する事例や、「ディープフェイクポルノ」などが含まれます。現行法では「声」そのものに著作権がなく、保護の線引きが不明確な部分があり、指針により権利侵害時の提訴ハードル低下と抑止効果が期待されています。
国際的な動向とAI音楽の現在地
2026年現在、AI音楽をめぐる法的環境は各国で急速に整備されつつあります。EUではAI Act(人工知能法)が全面施行され、AI生成コンテンツへの透明性表示義務が音楽ストリーミングサービスにも適用され始めています(Hermes News)。米国では学習データの無断使用をめぐる訴訟が進行し、日本では文化庁がAI学習と著作権に関するガイドラインを改訂するなど、業界のルールメイキングが活発化しています。これらの動きは、技術革新とクリエイターの権利保護という難しいバランスを取りながら、新時代の音楽産業の基盤を築こうとするものです。
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