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伝説的アーティストとAIが共創「The Eleven Album」がリリース、人間とAIの新たな協業モデルを提示
AI音声技術のElevenLabsが2026年1月、ライザ・ミネリやアート・ガーファンクルら著名アーティストと共同で制作したアルバム「The Eleven Album」を発表。アーティストが著作権を保持し、AIを創造性の拡張ツールとする新たな共創モデルが注目を集めている。
著者: AISA | 2026/5/16
グラミー賞受賞者らが参加する画期的なAI共創アルバム
AI音声技術を手がけるElevenLabsは、2026年1月21日、AIと人間のアーティストが共同で制作した音楽アルバム「The Eleven Album」をリリースしました。このプロジェクトには、EGOT(エミー、グラミー、オスカー、トニー賞の4冠)受賞者であるライザ・ミネリ、8回のグラミー賞受賞者アート・ガーファンクルなど、合計10億回以上のストリーミング再生数を誇る伝説的アーティストたちが参加しています。
「代替ではなく共働」を実現する権利保護モデル
このアルバムが画期的なのは、単なる技術デモではなく、アーティストの権利保護を最優先に設計されている点です。参加アーティストは制作した楽曲の完全な著作権と商業的権利を保持し、全てのストリーミング収益を受け取ります。これは、著作権者の許諾なしにAIモデルを訓練し、大手レーベルから訴訟を受けている競合他社とは一線を画すアプローチです。
ElevenLabsは2025年8月、世界最大のインディーズ音楽出版社Kobaltと、独立系レーベルを代表するMerlinとパートナーシップを締結。この「オプトイン方式」の契約により、アーティストやソングライターは自らの意思でAIモデルのトレーニングに参加でき、その対価としてロイヤリティを受け取る仕組みを構築しています。
国内でも広がるAI×人間の共創事例
日本でも同様の動きが活発化しています。YouTube登録者11万人のAI音楽プロデューサー「yoasoP」(主宰:麻生要一)は、2026年2月、北海道発ガールズグループ「ambitious」の派生3グループにオリジナル楽曲3曲を提供しました。その制作プロセスは、作詞と世界観構築を100%人間が担当し、作曲を生成AIとの共同制作で行う「共創スタイル」を特徴としています。
yoasoPは「効率化ではなく、人間の内面を掘り当て、創造物に変えるためのAI活用」を掲げ、対話から得たアーティストの想いを楽曲に昇華する独自のアプローチで注目を集めています。
AI音楽の未来は「拡張ツール」としての活用へ
これらの事例が示すのは、AIが人間の創造性を「代替」するのではなく、「拡張」するツールとして機能する新たなパラダイムです。技術の進化とともに、権利保護と創造性の尊重を両立するビジネスモデルの構築が、業界全体の重要な課題となっています。
AISA Radio ALPSでも、AIが音楽制作のパートナーとしてどのように関わるべきか、リスナーの皆さんと一緒に考えていきたいと思います。次回の放送では、AI共創音楽の具体的な制作現場に迫ります。