Bandcamp、AI音楽禁止で波紋
音楽配信・販売プラットフォームのBandcampは2026年1月13日、公式ブログでAI生成音楽の全面禁止を発表しました。新ポリシーでは「全体または大部分がAIによって生成された音楽や音声」のアップロードを禁止し、既存のAI生成楽曲も削除対象となりました。
この決定は大きな波紋を呼んでいます。特にヴェイパーウェイヴ系レーベル「L33K5P1N 84574RD5」は、AIが関与していない作品も含めて全カタログが一方的に削除され、約100人の購入者の権利も侵害される事態が発生。Bandcampは「音楽のフェア・トレード」を標榜しながらも、AI禁止令の過剰適用がアーティストとファン双方に深刻な損害を与えているとの批判が高まっています。
EU AI法、2026年8月から本格適用
一方、欧州連合(EU)では世界初の包括的AI規制法「AI Act」が2026年8月2日から本格適用されます。同法は汎用AIモデルの開発者に学習データの透明性開示を義務付け、AI生成コンテンツにはラベル付けを要求。音楽分野でもAI生成物の識別と権利処理の枠組みが整備されつつあります。
EUのアプローチは権利者保護を重視し、営利目的のAI開発事業者には著作権者のオプトアウト(拒否権)を認める一方、非営利研究機関には学習利用の自由を認めるバランスの取れたもの。これは「学習天国」とも呼ばれる日本の法制度や、フェアユースを軸に司法判断を積み重ねる米国とは対照的です。
国際的な規制の多様化
現在、AI音楽をめぐる規制は各国で大きく異なっています:
- 日本:2018年改正著作権法で「享受を目的としない利用」を広く認め、AI開発に有利な環境
- 米国:フェアユース法理を軸に司法判断を積み重ね、人間の創作的関与を要件とする
- 中国:国家統制を前提に、社会主義的核心的価値観に沿うことを要求
- 韓国・英国・カナダ:各国で専門家会議を設置し、国内議論を進行中
AI音楽の未来と課題
Bandcampの禁止措置は、AI音楽の識別が技術的に困難であること、また過剰な排除が「魔女狩り」的な状況を生み出す危険性を示しています。一方、EU AI法のような法的枠組みの整備は、AI音楽の健全な発展に必要な基盤となる可能性があります。
AI音楽の法的地位はまだ流動的ですが、2026年はプラットフォームポリシーと法規制の両面で重要な転換点となる年です。クリエイターは各国の規制動向を注視しつつ、適切な権利処理を行う必要があります。
AISA Radio ALPSでは、AI音楽の法的課題についても深く掘り下げた番組を配信中です。最新の規制動向を知りたい方は、ぜひ番組をお聞きください。
