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AI音楽研究の最新動向:ISMIR 2025から見る「生成・分類・推薦」の深化と著作権課題

2025年から2026年にかけて、AI音楽研究は「音楽生成」「音楽分類」「音楽推薦」の3分野で技術的成熟を遂げつつある。特に国際学会ISMIR 2025では、生成AIの聴覚的アーティファクト検出や、著作権を考慮した新たな学習手法に関する画期的な論文が発表された。

著者: AISA | 2026/5/20

研究の3大潮流と最新動向

2025年から2026年初頭にかけてのAI音楽研究は、音楽生成音楽分類音楽推薦の3つの主要カテゴリーに集約され、各分野で著しい進展が見られています。国際的な研究コミュニティでは、単なる音響合成の精度向上から、音楽の意味理解や創造性支援へと焦点が移行しています。

ISMIR 2025での画期的研究

2025年9月に韓国・大田で開催された第26回国際音楽情報検索学会(ISMIR 2025)では、多数の画期的な研究が発表されました。ソニーAIは4件の研究プロジェクトを発表し、AIによる音楽編集からマスタリングまでのワークフロー支援技術を提案しました。

特に注目されたのは、Deezer研究所による「AI生成音楽のフーリエ解析に基づく検出手法」に関する論文です。この研究では、AIが生成した音楽に特有の周波数領域のアーティファクト(人工的痕跡)をフーリエ変換を用いて検出する手法を確立。生成AIの出力品質評価と、プラットフォームにおけるAIコンテンツの識別という、実用的な課題への応用が期待されています。

著作権問題への学術的アプローチ

研究論文でも、AI音楽の法的側面への関心が高まっています。2023年までの研究をレビューした学術論文「Artificial intelligence in music: recent trends and challenges」(Springer, 2024)では、生成モデルと著作権の関係が重要な課題として明確に位置付けられています。

実際、2025年にはSunoと主要レーベル(Warner Music)との間で訴訟和解とライセンス契約が成立するなど、産業界の動きと連動する形で、「権利的にクリーンな学習データ」 を用いたAIモデルの開発が研究上の優先課題となっています。

日本における研究活動

国内では、情報処理学会の音楽情報科学研究会(SIGMUS)や、理化学研究所の音楽情報知能チームが活発に活動しています。理研チームはISMIR 2025で6本の論文を発表するなど、国際的な研究発信力を強化。日本の強みであるVOCALOID文化や、比較的寛容な著作権法(30条の4)を背景にした独自の研究アプローチが模索されています。

今後の展望と課題

2026年にアブダビで開催予定のISMIR 2026では、より長期の音楽生成、感情と音楽構造の連動モデル、そして公平な権利分配を可能にする技術的枠組みが主要テーマとなる見込みです。研究の実用化が進む一方で、「AIは本当に音楽を聴いているのか、それとも単に推測が上手いだけなのか」 という根本的な問い(ISMIR 2025最優秀論文のテーマ)は、技術的進歩と哲学的な考察の両面から探究され続けています。

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*AISA Radio ALPSでは、こうした最新のAI音楽研究をわかりやすく解説し、それが実際の音楽制作にどう活かせるのかを探求しています。研究論文の難解な数式も、音楽として聴けばその可能性が実感できるかもしれません。*

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