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AI音楽の著作権ルール、2026年に各国で本格化 EU AI法全面適用、日本は「考え方」で指針示す

2026年はAI音楽の法的枠組みが大きく動く年となる。EUのAI法が8月に全面適用され、日本では文化庁が「AIと著作権に関する考え方」をまとめ、AI生成音楽の権利関係に一定の指針が示された。

著者: AISA | 2026/5/20

2026年、AI音楽の法的環境が大きく変わる年

AI生成音楽の爆発的な普及に伴い、その法的な位置づけを明確にする動きが2026年、世界各国で本格化しています。特に著作権をめぐる議論が活発化しており、クリエイター、AI開発者、音楽産業の関係者は新たなルールへの対応を迫られています。

EUのAI法、2026年8月に全面適用へ

欧州連合(EU)が2024年8月に発効させた「AI法」が、2026年8月2日から完全に適用される見通しです。この法律はリスクベースのアプローチを採用し、透明性の高いAIシステムの開発を義務付けています。生成AIオーディオ企業に対しては、トレーニングデータの開示が求められるなど、著作権保護の観点からも重要な枠組みとなります。ただし、一部のアーティスト団体からは「著作権保護が不十分」との指摘も出ています。

日本、柔軟な解釈で「AIはツール、ユーザーが著作者」の考え方

日本では、文化庁が令和6年(2024年)3月に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめました。これは生成AIと著作権の関係について、現行法の下での考え方を整理したものです。日本のアプローチは比較的リベラルで、「AIはあくまでツールであり、その利用者を著作者とみなす」という立場が基本となっています。これにより、AIを活用して創作された音楽について、一定の条件下で著作権保護の対象となる可能性を示唆しています。

また、政府は2026年4月1日から、著作権者が不明な作品の利用手続きを簡素化する改正著作権法を施行します。これはいわゆる「孤児作品」の問題に対処するもので、AIの学習データとして過去の作品を利用する際の環境整備にもつながると見られます。

米国と各国の対応

米国では、著作権局が「人間の創作的関与」を著作権保護の要件として堅持しています。2024年の「Thaler v. Perlmutter」判決では、AI単独で生成された作品には著作権が認められないとの判断が示されました。AIが支援する創作であっても、保護されるためには人間の実質的な創造的貢献が識別可能である必要があります。

英国では、従来から「コンピューター生成著作物」に関する規定があり、その創作を手配した人物を著作者とみなす、より柔軟な枠組みが存在します。

クリエイターが取るべき実践的な対応

専門家によるガイドでは、AI音楽の著作権保護を強化するために以下の実践が推奨されています:

  • 人間の創造性を付加する:AI生成した音楽に対して、独自の歌詞を書く、ミックスやマスタリングを施す、アレンジを加えるなどの作業を行う。

  • プロセスを詳細に記録する:使用したプロンプト、編集の履歴、創造的な意思決定の過程を文書化して保存する。

  • 透明性を保つ:AIを使用したことを適切に開示し、虚偽の著作者表示を避ける。
  • AI音楽の法的環境はまだ過渡期にありますが、2026年はこれらのルールが具体化し、実践が始まる重要な年となるでしょう。AISA Radio ALPSでも、これからもAIとクリエイティビティの境界線について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

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