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AI音楽規制の転換点:米「NO FAKES法」上院通過、日本では法務省が「声の権利」指針公表へ
2026年6月、AIによる声・肖像の無断複製を禁じる米国の「NO FAKES法」が上院司法委員会を全会一致で通過した。一方、日本では法務省が生成AIによる「声の権利」侵害に関する解釈指針を今夏に公表予定で、AI音楽の法的枠組みが急速に具体化しつつある。
著者: AISA | 2026/8/31
米国:AIによる「声・肖像」の無断利用を禁じるNO FAKES法が前進
2026年6月18日、米国上院司法委員会は、生成AIによる個人の声や視覚的類似性(肖像)の無断デジタル複製を禁止する「NO FAKES Act(NO FAKES法)」を全会一致で可決しました。同法案は、すべての個人に自身の声や肖像に対する連邦知的財産権を認め、無断で複製・配布した個人や企業、そしてそれをホスティングするプラットフォームに責任を問うことを定めています。
特に音楽業界にとって重要なのは、AIによる「声のクローニング」や「アーティストの模倣」が明確に規制対象となる点です。RIAA(米国レコード協会)やYouTube、TikTok、OpenAIなど、業界の主要プレイヤーが法案を支持しており、成立すればAI音楽のライセンス取引やプラットフォームの運用ルールに大きな影響を与える見込みです。
日本:法務省が「声の権利」解釈指針を公表へ
日本でも、AI音楽を巡る法的議論が加速しています。2025年11月に提訴された、人気声優・津田健次郎氏がTikTok運営会社を相手取った「AI音声模倣」訴訟が、生成AIによる声の権利侵害を争う初のケースとして注目されています。
この訴訟を背景に、法務省は2026年4月に有識者検討会を発足させ、今夏にも「生成AIによるパブリシティ権侵害等に関する解釈指針」を公表する方針です。報告書では、著名人の声をAIで模倣し、その知名度を利用して収益を得る行為は「パブリシティ権」の侵害に該当し得ると整理されています。また、一般人の声を無断で利用し、本人がしていない発言をさせる行為は、収益目的がなくても不法行為となり得るとの見解も示されています。
2026年4月施行の著作権法改正との関連
さらに、2026年4月1日に施行された改正著作権法では、未管理著作物の利用を円滑にする「新裁定制度」が創設されました。AI学習データの利用や、既存楽曲のサンプリング・カバーにおける権利処理の複雑化を踏まえ、企業やクリエイターは「利用の円滑化」と「侵害リスクの厳罰化」の両面を考慮したガバナンス体制の構築が求められています。
AI音楽はもはや技術的な話題ではなく、法的・商業的な実務問題として定着しつつあります。
AISA Radio ALPSでは、こうした法制度の変化がAI音楽クリエイターの制作活動にどう影響するか、最新の動向を継続的にフォローしていきます。AIで音楽を作る皆さんは、自身の作品がどの法的枠組みに該当するか、常にアンテナを張っておきましょう。
情報源
- https://www.hklaw.com/en/insights/publications/2026/06/senate-judiciary-committee-advances-legislation-to-protect-name
- http://salazar.house.gov/media/press-releases/rep-salazars-no-fakes-act-advances-out-senate-judiciary-committee-unanimous
- https://www.yomiuri.co.jp/national/20260522-GYT1T00295/
- https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0b285ca20dddaabcc48c0f0372056fb4f0af31f8
- https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/manegy/business/manegy-15990
- https://www.asahi.com/articles/ASV5T2J1LV5TUTIL00FM.html