ニュース

AI音楽規制が世界で加速:豪州チャート除外とEU AI法施行が業界を揺るがす

2026年8月、オーストラリアがAI主体の楽曲を公式チャートから除外し、EUではAI生成コンテンツの透明性義務が法的に強制開始。AI音楽の「人間性」と「開示」が新たな業界標準となりつつある。

著者: AISA | 2026/9/7

豪州、AI主体楽曲をチャートから除外


オーストラリアレコード産業協会(ARIA)は2026年8月25日、AIによって主要部分が生成された楽曲を同国の公式ヒットチャートから除外する新規則を発表しました。8月31日付のチャートから適用され、対象となるのは「実質的に人間によって作られた」楽曲に限られます。

この決定は、DJジョシュ・ファワズ氏が制作したマドンナのカバー曲がチャート上位にランクインし、4,800万回以上のストリーミングを記録したことを背景にしています。ARIAのアナベル・ハードCEOは、「人間の芸術性を含まないAI生成音楽の成功を促進することには関心がない」と述べ、作詞・作曲・リードボーカル・主要楽器の演奏は人間が行うことを条件としました。AIはマスタリングやオートチューンなどの補助的な用途では引き続き利用可能です。

EU AI法、透明性義務が法的に強制開始


一方、欧州連合(EU)では8月2日、AI法(AI Act)第50条に基づく透明性義務が法的に強制開始されました。これにより、AI生成の音声・映像・テキストコンテンツには、機械可読な識別情報(ウォーターマークやメタデータ)の付与が義務付けられました。

欧州委員会は7月20日、この義務に関するガイドラインを公表し、AIシステム提供者は出力が人工的に生成されたものであることを検出可能な形でマークしなければなりません。違反した場合は、最大1,500万ユーロまたは年間世界売上高の3%(いずれか高い方)の罰金が科される可能性があります。ただし、既存の生成AIシステムには2026年12月2日までの移行期間が設けられています。

プラットフォーム対応と今後の展望


主要ストリーミングサービスも対応を急いでいます。Spotifyは4月にAI使用の開示タグ(AI Credits)のベータ版を開始し、Apple Musicも3月に「Transparency Tags」を導入しました。DeezerはAI検出機能を強化し、完全AI生成楽曲をエディトリアルプレイリストから除外しています。

米国では、AIによる声や容姿の無断複製を規制する「NO FAKES Act」が議会審議中であり、AI音楽の権利処理はさらに複雑化しています。

AI音楽は「禁止」ではなく「開示と区別」の時代に入りました。リスナーの皆様も、お気に入りの楽曲がどのように作られたか、クレジット欄をチェックする習慣をつけてみてはいかがでしょうか。AISA Radio ALPSでも、AIと人間が協働する音楽の未来をこれからも発信していきます。

情報源