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AI音楽研究の最前線:脳活動から音楽を復元する新手法と、人間とAIの創造性に関する最新知見

2026年、AI音楽研究は「生成」から「理解・共創」へ進化。脳活動から音楽イメージを復元するNature Communications掲載の最新研究や、CMUによるAI支援作曲の創造性評価など、学術界の注目すべき動向を解説します。

著者: AISA | 2026/9/9

脳活動から「頭の中の音楽」を復元する技術が登場

2025年11月に発表され、2026年9月号の『日経サイエンス』で詳細が報じられた最新の脳科学研究が、AI音楽界に大きな波紋を広げています。名古屋工業大学の高木優准教授らが、大阪大学やGoogle DeepMindと共同で発表した研究では、fMRIで計測した人間の脳活動から、その人が頭の中で感じている音楽のイメージをAIで予測し、実際に楽曲として生成することに成功しました。

この研究で使用されたのは、Googleが開発した音楽生成AI「MusicLM」です。研究チームは、MusicLMの内部表現と人間の脳活動の間に高い対応関係があることを示しました。さらに興味深い発見として、視覚情報が脳内で段階的に処理されるのに対し、聴覚情報(音楽の雰囲気やジャンルなど)は低次・高次を問わず同じ領域でまとめて処理されていることが判明しました。これは、トランスフォーマー型AIの構造が人間の聴覚処理と驚くほど似ていることを示唆しており、AIが単なるツールではなく、脳を知るための「鏡」として機能し始めていることを意味します。

「AIは人間より創造的か?」CMUの厳密な検証

一方、AIの創造性そのものを問う研究も進んでいます。カーネギーメロン大学(CMU)の学際チームが2026年1月に発表した研究では、140人の音楽訓練を受けた参加者に15秒のメロディを作らせ、AIツール(Udio)を使うグループと使わないグループで比較しました。

結果、AI支援グループは作曲速度が遅く、使用した音符の数が少なく、第三者による評価でも「創造性」や「楽しさ」の面で劣ることが判明しました。研究責任者のJose Oros氏は、「AIは生産性を高めるツールとしては機能するが、現時点では人間の持つ『意図性』や『経験に基づく共感』を代替するものではない」と指摘しています。

研究の焦点は「共創」へ

また、UCサンディエゴ大学などの研究では、AIを「曲を生成するブラックボックス」ではなく、ミュージシャンがリアルタイムで演奏し、AIがそれに反応して伴奏を返す「共創パートナー」として設計する試みが活発化しています。

これらの動向は、AI音楽技術が「誰でも曲を作れるようになった」段階を脱し、「人間とAIがどう向き合い、どう価値を生み出すか」というより深い哲学的・技術的課題へと移行していることを示しています。

AISA Radio ALPSでは、こうした最先端の研究が私たちの音楽体験にどう影響を与えるのか、専門的な視点から引き続きお届けしていきます。AIが作る音楽と、人間が感じる音楽の境界線について、ぜひ一緒に考えましょう。

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