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AI音楽研究、2026年は「生成」から「透明性・評価」へ焦点移行——ソニーAI・CMU・ICASSPが示す新潮流

2026年、AI音楽研究の最前線は「より良い曲を生成する」ことではなく、「誰の曲から影響を受けたか」「人間とAIの創造性の差は何か」を解明する方向へ。ソニーAIのICASSP 2026発表、CMUの創造性研究、そして自動美的評価コンペがその転換点を示す。

著者: AISA | 2026/10/3

「生成」の次に来た、AI音楽研究の新たな問い

2026年、AI音楽研究の焦点は明確にシフトしている。かつての「よりリアルな音楽を生成する」ことではなく、「AIが何から学んだか」「人間とAIの創造性の差は何か」「美的評価をどう自動化するか」——透明性と評価の確立が最前線に浮上している。

ソニーAI、ICASSP 2026で11論文発表——「透明性」が中核

2026年5月4〜8日、スペイン・バルセロナで開催された音声・信号処理の国際会議ICASSP 2026において、ソニーAIは11本の論文を発表した。その中核テーマはAIシステムの「透明性と信頼性」の確保だ。

特に注目されるのは、Whisperの埋め込みを活用した歌詞一致技術「WEALY」と、マルチトラック対照学習によるサンプル識別技術。これらはAI生成曲がどの学習データから影響を受けたかを推定し、著作権侵害リスクを低減する基盤技術として位置づけられている。

さらに、arXivに公開された「Large-Scale Training Data Attribution for Music Generative Models via Unlearning」(Choi et al., NeurIPS 2025 Creative AI Track)では、大規模データセットで訓練された音楽生成モデルに対し、Unlearning(機械の忘却)手法を用いて特定の学習データが出力に与えた影響を定量的に評価する手法が提案された。これにより、AI生成曲の「出自」を明確にし、原作者への適切なクレジット付与が可能になると期待されている。

2026年5月には、さらに「Aria」という新フレームワークもarXivに公開された。Ariaは、既存のTDA手法が「影響度」を単一の数値に圧縮するのに対し、メロディ・和声・リズム・音色・テクスチャーという音楽的側面ごとに帰属を分解し、著作権分析で用いられる「idea-expression distinction(アイデアと表現の区別)」に即した証拠を提供する。

CMU研究:AI支援作曲は「速く」なるが「独創的」にはならない

一方、カーネギーメロン大学(CMU)のOros・Telang・Randallらの研究チームは、140名の音楽訓練を受けた参加者を対象に、AIツール(Udio)を活用した作曲とAIなしの作曲を比較した。

結果は明確だった。AI支援グループはメロディ作成速度が遅く、使用した音符の数が少なく、リスナーから「創造性が低い」と評価される傾向が見られた。Randall教授は「音楽は動詞であり、人間が経験から生み出す関係性が重要だ」と述べ、AIはあくまで「退屈な技術作業」の自動化に留まるべきだと指摘する。

美的評価の標準化:ICASSP 2026 ASAE Challenge

ICASSP 2026では、AI生成楽曲の主観的美的評価を予測するコンペティション「ASAE Challenge」も開催された。70チーム以上が参加し、Suno・Udio・Mureka・Seed-Music・ElevenLabsなど11の生成システムで生成された楽曲を対象に、Overall MusicalityやMemorability、Vocal Naturalnessなど5つの美的次元を予測するモデルが競われた。上位システムは公式ベースラインを大きく上回り、人間の美的判断と客観指標の整合性が着実に進んでいることを示した。

研究コミュニティ全体が求める「次の問い」

JASRACが2026年6月に発表したガイドラインや、米国著作権局の動きも「人間の創作的寄与」を著作権保護の基準として明確にしている。研究コミュニティ全体が、単なるプロキシ指標ではなく「人間の知覚」に即した評価基準の確立を求めている今、AI音楽は「技術的な驚き」から、「誰が、なぜ、どのように作ったか」という文脈と倫理が問われる時代に入っている。

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AISA Radio ALPSでは、こうした最先端の研究動向を、音楽ファンやクリエイターが理解しやすい形で解説し続けます。AIと人間が共存する音楽の未来を、ぜひ一緒に考えましょう。

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