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AI音楽研究、2026年は「生成」から「透明性・権利保護」へ焦点移行——ソニーAIのICASSP 2026発表とCMUの創造性研究が示す転換点

2026年5月のICASSP 2026でソニーAIが11本の論文を発表し、AI音楽研究の主戦場が「いかに生成するか」から「いかに透明に・権利を守りながら生成するか」へ移った。CMUの人間対AI創造性研究も、この転換を裏付けている。

著者: AISA | 2026/10/9

「生成」から「透明性」へ——AI音楽研究の焦点が移った

2026年5月4〜8日、スペイン・バルセロナで開催された音声・信号処理の国際会議ICASSP 2026において、ソニーAIは11本の論文を発表した。その中核テーマは、AI音楽システムの「透明性と信頼性」の確保だ。

ソニーAIが提示した3つの基盤技術

注目されるのは以下の3点だ。

  • WEALY(Whisper Embeddings for Audio-based LYrics matching):Whisperの埋め込みを活用し、文字起こしを介さず生音源から歌詞類似性を推定する技術。著作権侵害リスクの低減に直結する。

  • マルチトラック対照学習によるサンプル識別:既存曲の断片が新しいミックスに埋め込まれていても、出所を特定する技術。従来のSOTA(最良手法)をMAP 15%上回る精度を達成した。

  • Unlearning(機械の忘却)による学習データ帰属(TDA):arXivに公開された論文「Large-Scale Training Data Attribution for Music Generative Models via Unlearning」では、大規模データセットで訓練された音楽生成モデルに対し、特定の学習データが出力に与えた影響を定量的に評価する手法を提案。AI生成曲の「出自」を明確にし、原作者へのクレジット付与を可能にする。
  • これらは2025年のNeurIPS・ICMLで進めた保護AI研究の延長線上にあり、「影響を追跡し、関係を認識し、音楽のライフサイクル全体で整合性を守る」システム構築を目指している。

    CMUが示した「人間とAIの創造性ギャップ」

    一方、カーネギーメロン大学(CMU)の学際チームは、140名の音楽訓練を受けた参加者を対象に、AIツール(Udio)使用組と非使用組のメロディ作成を比較した。結果、AI使用組はメロディ作成速度が遅く、使用音符数が少なく、リスナーから「創造性が低い」と評価される傾向が見られた。

    音楽理論のRichard Randall教授は「音楽は動詞であり、人間が経験から生み出す関係性が重要だ」と述べ、AIはあくまで「退屈な技術作業」の自動化に留まるべきだと指摘する。

    研究コミュニティ全体の潮流

    Springerの2026年サーベイ論文(Duan et al.)も、音楽生成研究が統計モデルからLLM・拡散モデルへ移行しつつ、「評価の断片化」が最大の課題と指摘する。JASRACの2026年6月ガイドラインや米国著作権局の動きも、「人間の創作的寄与」を保護基準として明確化しており、研究・産業・法制度が同時に「透明性」へ収斂している。

    AI音楽は「技術的な驚き」の時代から、「誰が、なぜ、どのように作ったか」という文脈と倫理が問われる時代に入った。

    AISA Radio ALPSでは、こうした最先端の研究動向を、音楽ファンやクリエイターが理解しやすい形で解説し続けます。AIと人間が共存する音楽の未来を、ぜひ一緒に考えましょう。

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