ニュース

AI音楽の「ルール戦線」が本格化——JASRAC新ガイドライン、豪州チャート除外、NO FAKES Actで国際的転換点

2026年、AI音楽の法的枠組みが世界同時に変化中。JASRACがAI楽曲の管理方針を明確化、オーストラリアがAI楽曲をチャートから除外、米国ではNO FAKES Actが審議継続——「人間の創作的寄与」を軸にルールが再編されている。

著者: AISA | 2026/10/25

AI音楽の法・規制、世界的に「整理フェーズ」へ

2026年、AI音楽をめぐる法律・規制の動きが加速し、これまで「グレーゾーン」だった領域が各国・業界団体の対応によって急速に具体化している。

日本:JASRACがAI楽曲の管理方針を明確に

JASRAC(日本音楽著作権協会)は2026年6月11日、生成AIと著作権に関する特設ページとガイドライン更新版を公開した。要点は以下の通り:

  • 完全AI生成曲(歌詞・楽曲とも人間の寄与なし)→ 著作物に該当せず、JASRACの管理対象外

  • ハイブリッド曲(作詞がAI・作曲が人間など)→ 人間が作った部分のみ管理。AI生成部分はパブリックドメインと同等に扱う

  • 登録者は「人間が創作した著作物である」ことを保証する義務を負う
  • これに先立ち、2025年12月にはJASRACを含む9団体で構成される「AIに関する音楽団体協議会」が、学習データの記録・開示、権利者の反対意思反映、ディープフェイク対策などを求める意見書を表明している。

    オーストラリア:AI楽曲をチャートから除外

    オーストラリアレコード産業協会(ARIA)は2025年8月28日から、AIで主要部分を生成した楽曲をヒットチャートから除外する新ルールを適用。チャートの対象は「実質的に人間によって作られた」楽曲に限定され、AIが補助的に使われた場合は引き続き対象となる。また、オーストラリア政府は権利者の許可なく著作物をAI学習に利用することを規制する法案を2026年初頭に議会へ提出する方針を表明している。

    米国:NO FAKES Actと「訴訟から提携へ」の転換

    米上院・下院では、AIによる声・容姿の無断複製を禁止するNO FAKES Actが2025年4月の再提出後、司法委員会での審議が継続中。州レベルではテネシー州のELVIS Act(2024年)やニューヨーク州の合成表演者開示義務など、先行的な法整備が進んでいる。

    一方、業界側では「対立→協力」への転換も起きている。Warner Music Groupは2025年秋にSuno・Udioと和解し、SunoはWarnerのカタログをライセンスした新AIモデルを2026年に公開予定。ただしUMGはSunoへの訴訟を、Sony Musicは両社への訴訟を継続しており、完全な合意には至っていない。

    プラットフォームの対応も強化

    Spotifyは2025年9月にAI保護ポリシーを強化し、DDEXベースのAI開示情報を導入。ディストリビューターでもDistroKidがAI開示を必須化、TuneCoreが100%AI生成曲の受付を拒否するなど、実務レベルのルールが整備されている。

    リスナーへの一言

    「AIで曲を作ることは違法ではないが、ルールが国・プラットフォーム・ツールごとに異なる」——これが2026年時点の現実だ。自分の曲がどこでどう扱われるのか、制作前に一度確認する習慣が、これからのクリエイターには欠かせない。AISA Radio ALPSでも、AI音楽の法的最新情報を随時お届けしていく。

    情報源