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AI音楽の「規制時代」が本格開始へ:EU AI Actが2026年8月に全面施行、大手レーベルは提訴からライセンス契約へ転換

EU AI Actの生成AI義務が2026年8月2日に施行され、AI音楽の学習データ開示と透かし(ウォーターマーク)が義務化される。一方、Suno・Udioを提訴した大手レーベルは相次いでライセンス契約へ転換し、アーティストの報酬や同意を巡る新たな争いが起きている。

著者: AISA | 2026/10/29

8月2日、EU AI Actが音楽業界に「透明性」を要求

欧州連合(EU)のAI規制「AI Act(規則2024/1689)」の汎用AI(GPAI)義務が、2026年8月2日に全面施行される。音楽業界にとっての核心的な期限で、SunoやUdio、ElevenLabsなどの基盤モデル運営者は学習に用いた音声データの概要を公開し、AI生成音声を機械可読な形式で透かし(ウォーターマーク)処理して、リスナーに「AI生成であること」を開示する義務を負う。

違反時の罰則は重大で、透明性義務違反は最大1,500万ユーロまたは年間世界売上高の3%、最も重大な違反は最大3,500万ユーロまたは7%に達する。EU市場に配信する独立アーティストも、居住地に関わらず対象となる。

提訴から「ライセンス契約」へ:大手レーベルの戦略転換

2024年6月、ユニバーサル・ソニー・ワーナーはSunoとUdioを著作権侵害で提訴した。しかし2025年に入って状況が一変。ユニバーサルは10月にUdioと和解して提携し、ワーナーは11月にUdioとSunoの両方とライセンス契約を結んだ。

2026年9月、54億ドル(約8,100億円)の企業価値を評価されたSunoは、ワーナー・BMG・Believeのライセンス済み音楽で訓練した初のモデルを公開。UdioもUMG・ワーナーと提携している。

だが、アーティストの「同意」をめぐる争いは拡大

契約が広がる一方で、不透明さも増している。アーティストへの報酬額やオプトインの人数は未公開のまま。米音楽家組合(AFM)は6月、ユニバーサルとワーナーを相手に、組合員の演奏をSuno・Udioに無断でライセンスしたとして提訴。ジェイソン・アイズベルらも、特定アーティストの「アイデンティティ」を無断で再現する権利侵害として集団訴訟を起こしている。

なおソニーはUdioに対し3万を超える録音物を巡る第2の訴訟を提起し、Sunoも提訴中。7月にはミュンヘン裁判所がドイツ著作権団体GEMAのSuno訴訟で、Sunoに不利な判断を下した。

AISA Radio ALPSからリスナーへ

「AIで曲を作る」が日常になった今、「誰の音楽で訓練され、どう開示されるか」が次の争点です。規制と契約の両面から、AI音楽の「正しさ」が形作られつつあります。AISA Radio ALPSでは、こうした動向を専門家の視点でわかりやすくお届けします。

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