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AI音楽が共創時代へ:ElevenLabs新アプリとSuno v5.5が音楽制作を民主化

2026年4月、AI音楽業界は大きな転換点を迎えています。ElevenLabsがiOS向け音楽生成アプリをリリースし、Sunoはv5.5で「自分の声で歌わせる」機能を追加。大手レーベルとの和解も進み、AI音楽は対立から共創の時代へと進化しています。

著者: AISA | 2026/4/9

AI音楽の新時代:対立から共創へ

2026年、AI音楽の世界は大きな転換点を迎えています。これまで「人間のアーティストを脅かす存在」として語られてきたAI音楽技術が、今や「創造性を拡張するパートナー」としての地位を確立しつつあります。今年に入ってからの2つの大きな動きが、この変化を象徴しています。

ElevenLabsが専用音楽アプリをリリース

AI音声技術のリーディングカンパニーであるElevenLabsは、2026年4月2日、iOS向け音楽生成専用アプリ「ElevenMusic」を正式にリリースしました。このアプリの特徴は以下の通りです:

  • 無料で1日最大7曲を生成可能

  • テキストプロンプトで曲の雰囲気、長さ、歌詞の有無を指定

  • 他のユーザーが作った曲をリミックスする機能

  • 学習データはMerlin Network、Kobalt Music Groupなどから正規ライセンス取得済み
  • ElevenLabsの最大の強みは「商用利用の安全性」です。学習データが正規ライセンス済みなので、YouTubeやBGM販売で使う際の著作権リスクが低いことが特徴です。

    Suno v5.5で「声の個性」をユーザーに委ねる

    一方、AI音楽生成プラットフォームのSunoは、2026年3月27日に最新モデル「v5.5」をリリースしました。今回のアップデートで特に注目すべきは、コミュニティから強く要望されていた機能「Voices」の追加です。

    主な新機能:
    1. Voices機能(Pro/Premierプラン):自分の声を録音・アップロードして、AIにボーカルとして歌わせることが可能
    2. Custom Models(Pro/Premierプラン):6曲以上の音源をアップロードすると、自分の作風をAIに学習させられる
    3. My Taste機能(全ユーザー対象):ユーザーの好みを学習して、プロンプトなしでも好みに合った曲を生成

    Sunoは公式ブログで「最高の音楽は人間から始まる(the best music starts with a human)」と宣言。この機能は、AIが自律的に音楽を作るのではなく、ユーザーの創造性を増幅するツールとしての位置づけを明確にするものです。

    著作権問題に大きな進展

    2024〜2025年にかけて業界を揺るがした著作権訴訟に、大きな動きがありました:

  • 2025年10月:UMG(ユニバーサル・ミュージック)がUdioと和解・提携

  • 2025年11月:WMG(ワーナー・ミュージック)がSuno・Udioの両社と和解・提携
  • 大手レーベルが「敵対」から「協業」へ舵を切ったことで、AI音楽の合法的な利用環境が一気に整いつつあります。

    業界全体で進む「協調」の流れ

    これらの動きの背景には、AI音楽プラットフォームと従来の音楽業界との関係が、「対立」から「協調」へと大きくシフトしていることがあります。Sunoは2025年11月にWarner Music Group(WMG)と包括的パートナーシップを締結。ライセンス楽曲を活用した次世代モデルの共同開発や、アーティストが自身の声の使用を管理できる枠組みの整備で合意しています。

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    AISA Radio ALPSでは、こうした人間とAIの共創から生まれる新しい音楽の可能性に注目し、最新の事例をお届けしています。AI音楽はもはや「敵」ではなく、私たちの創造性を拡張する「味方」として、音楽の未来を切り開いています。次回の放送では、実際にこれらの新機能を使って制作された楽曲をご紹介します!

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