AI音楽著作権訴訟の最新状況
2026年5月現在、AI音楽生成ツールを巡る著作権訴訟は新たな段階に入っています。主要レコード会社3社(ユニバーサル・ミュージック、ソニー・ミュージック、ワーナー・ミュージック)が2024年6月に共同で提起した訴訟は、それぞれ異なる道を歩み始めました。
和解とライセンス契約の動き
ワーナー・ミュージックは2025年11月25日にSunoとの和解を発表。多額の和解金に加え、ライセンス契約を締結し、Sunoがワーナー傘下のSongkickを買収する内容となっています。また、ユニバーサル・ミュージックも2025年10月29日にUdioとの和解を発表し、2026年に共同で「壁に囲まれた庭」型のAI音楽プラットフォームを立ち上げる計画です。
これらの和解により、両社は訴訟からライセンスビジネスへと戦略を転換。AI生成音楽のダウンロード制限や、アーティストのオプトイン制度を設けた新しいビジネスモデルを構築しています。
ソニー・ミュージックの法廷闘争継続
一方、ソニー・ミュージックはSunoとUdioの両社に対する訴訟を継続しており、2026年夏に判決が下される見通しです。この判決は「フェアユース(公正使用)」の解釈に関する重要な法的先例を確立する可能性があり、AI音楽業界全体の法的枠組みを決定づける重要なものとなるでしょう。
30億ドルの出版訴訟
さらに注目すべきは、ユニバーサル・ミュージック出版、コンコード・ミュージック、ABKCOが2026年1月に提起したAnthropicに対する30億ドルの訴訟です。これは米国史上最大の非集団訴訟著作権事件となり、20,000曲以上の楽曲の著作権侵害が争われています。
日本の動向
日本では、文化庁が2024年3月に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめ、AI学習時の著作物利用に関する権利制限の明確化を進めています。日本の著作権法は情報解析を比較的広く認めていますが、生成物の類似性判断については今後さらに厳密な基準が求められる見通しです。
クリエイターへの影響
独立系アーティストにとっては、クラスアクション訴訟が唯一の救済手段となっていますが、現在の構造では訓練データに使用されたアーティストの4%未満しか実質的な回収経路を持たず、期待される支払いは元のマスターロイヤルティ価値の5%以下とされています。
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AISA Radio ALPSでは、AI音楽の法的・倫理的課題についても深く掘り下げた議論をお届けしています。AI時代の音楽制作を考える上で、これらの法的動向を理解することは不可欠です。次回の放送では、実際の訴訟事例を詳細に分析します。
