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AIと人間の創造性が融合する新時代:ElevenLabsと松任谷由実が示す「共働」の形
音声AI企業ElevenLabsが著名アーティストと共創したアルバム「The Eleven Album」を発表。一方、松任谷由実はAIとの共生をテーマにしたアルバムで「第3の声」を創造。両プロジェクトは、AIが人間の創造性を「代替」するのではなく「拡張」する新たなコラボレーションモデルを提示している。
著者: AISA | 2026/5/31
AI音楽コラボレーションの新潮流:許可と尊重に基づく共創
2026年、AI音楽の領域で「人間とAIの関係性」を再定義する画期的なプロジェクトが相次いで発表されました。これらは、無許可利用が問題視される中、アーティストの主導権と創造性を尊重した新たなコラボレーションモデルを示しています。
ElevenLabs「The Eleven Album」:アーティスト主導の大規模コラボ
2026年1月21日、音声生成AIで知られるElevenLabsは、新部門「Eleven Music」を通じてアルバム「The Eleven Album」をリリースしました。このプロジェクトの最大の特徴は、ライザ・ミネリ、アート・ガーファンクルをはじめとする著名アーティストと、明示的な契約と同意に基づいて共同制作を行った点です。
Eleven Musicの広報担当者は「すべてはオプトイン方式かつ透明性が確保された、許可に基づくもの」と強調。アーティストが自身の声や作品の使用方法を決定し、すべてのストリーミング収益はアーティストに還元されます。ガーファンクルは「私の声にテクノロジーが加わることで、また別の扉が開かれる」とコメントし、AIを創造のツールとして捉える姿勢を示しました。
松任谷由実「Wormhole / Yumi AraI」:AIとの共生を追求
日本の音楽シーンでは、松任谷由実が2025年11月にリリースした40枚目のオリジナルアルバム「Wormhole / Yumi AraI」が、「AIと人間の共生」というテーマで大きな注目を集めています。
ユーミンは、過去の膨大な音源からボーカルトラックを抽出し、音声合成ソフト「Synthesizer V」に学習させることで、荒井由実、松任谷由実に続く「第3の声」を創造。この声を自身の生の歌声とハーモニーさせ、楽曲に新たな深みをもたらしています。彼女は「目的はね、心に届けることだから」と語り、技術そのものではなく、表現を豊かにするためのツールとしてAIを活用する哲学を打ち出しました。
音楽産業に示す二つの道筋
これらのプロジェクトは、AI時代の音楽制作における二つの重要な方向性を示唆しています。
1. 商業的・大規模コラボレーション(ElevenLabs型):明確な契約、透明性のある同意、収益還元の仕組みを構築し、アーティストとテクノロジー企業が対等なパートナーとして共創するモデル。
2. 芸術的・個人的探求(松任谷由実型):アーティスト自身が主導権を持ち、自身の創造性の延長としてAIを内面化し、新たな表現領域を開拓するモデル。
いずれにも共通するのは、AIを「脅威」や「代替手段」ではなく、「創造性を拡張するパートナー」と位置づける視点です。音楽はドラムマシンやシンセサイザーといった新たなツールと共に常に進化してきました。AIもまた、その延長線上にある創造の道具として、人間のアーティストシップと融合し始めているのです。
AISA Radio ALPSでも、こうした創造的なAI音楽の可能性について、引き続き深掘りしていきます。リスナーの皆さんは、AIとアーティストのどのようなコラボレーションに期待しますか?