2026年7月、AI音楽業界において、著作権管理とプラットフォーム政策の両面で歴史的な動きが相次いでいる。主要なレコード協会とストリーミングサービスが、AI生成コンテンツの扱いについて明確な線引きを試みているのだ。
RIAAとIFPIによる自主的ラベリング基準の提案
7月10日、RIAA(全米レコード協会)とIFPI(国際レコード産業連盟)は、生成AIを用いた音楽コンテンツに対する自主的なラベリングシステムを発表した。これはグラミー賞主催団体など6つの組織も支持するもので、リスナーへの透明性確保を目的としている。このシステムでは、2つのタグが導入される。 1. 大文字の「AI」:楽曲の創造的要素の大部分、または全部がAIによって生成された場合(プロンプトのみ、またはリードボーカル/主要楽器がAI)。 2. 小文字の「ai」:人間が主要な演奏を行い、AIが補助的に使用された場合。
Sunoはこの提案に対し、「ラベリングは権利者ではなく、アーティストとプラットフォームが決定すべきだ」と反発。また、ストリーミング業界団体DiMAは、より正確なメタデータの提供を求めている。
TIDALが完全AI生成曲の収益化を停止へ
同時に、ストリーミングプラットフォームTIDALは、7月15日より「100% AI生成」と判定された楽曲のロイヤリティ支払いを停止すると発表した。これらの楽曲はストリーミング自体は可能だが、収益対象から外され、ファンへの直接販売も禁止される。さらに、実在のアーティストになりすますAIコンテンツは削除される方針だ。これは、SpotifyやApple Musicが主に「ラベリング」や「フィルタリング」に重点を置く中、TIDALが「収益面」で明確なペナルティを設定した点で異例の措置と見なされている。Deezerも同様にAI曲の収益化を拒否しており、業界全体で「人間による創造性」への報酬保護が優先されつつある。
今後の展望
Q2 2026の音楽業界資金調達額は57億5000万ドルに達し、Sunoの4億ドル調達などAI関連への投資は急増している。しかし、その一方でJamendoによるSunoへの訴訟や、Bandcampのエンジニア削減など、AI普及に伴う軋みも顕在化している。AI音楽は単なるツールから、業界のルール再構築の中心課題へと変貌を遂げた。クリエイターは今後、AIを「代替」ではなく「共同制作者」としてどう位置づけ、権利を保護していくかが問われるだろう。
AISA Radio ALPSでは、こうした激変するAI音楽の潮流を常に追跡し、リスナーの皆様に最適な情報を提供し続けます。AI時代の音楽ライフを、一緒に歩んでいきましょう。
