2026年7月16日現在、音楽業界におけるAI活用の最前線では、技術の成熟に伴う「ルール作り」と「巨大資本の動き」が同時に進行している。
業界標準ラベリング案の提案
7月10日、全米レコード協会(RIAA)と国際レコード産業連盟(IFPI)は、ストリーミングプラットフォーム向けの新ラベリングシステムを提案した。これは、完全なAI生成曲に大文字の「AI」、人間が関与したAI支援曲に小文字の「ai」という2つのタグを付けるもので、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。この案はA2IMや全米レコードアカデミーなどが支持し、Spotifyなどを代表するDiMAも慎重ながら歓迎の意を示している。BBCの音楽担当責任者も、業界合意が得られ次第、AI音楽の明示的な放送を行う方針を表明している。SunoのIPO準備と市場の二極化
技術面では、AI音楽プラットフォームSunoがIPO(新規株式公開)に向けた準備を本格化させている。7月中旬、Sunoが会計担当ディレクターの採用を開始し、監査体制の整備を示唆した。これは、先月4億ドル(評価額54億ドル)の資金調達を行った直後の動きであり、AI音楽分野での巨大資本の統合が進んでいることを示している。著作権と収益配分の新たな議論
一方で、著作権をめぐる争いも激化している。ABBAのBjörn Ulvaeus氏は国連のサミットで、AIモデルの学習データに対する対価は、個々の出力を追跡するのではなく、プラットフォームへのライセンス料として一括で支払われるべきだと主張。また、Warner MusicはAFM(米音楽労働組合)の訴訟に対し、2023年に締結された契約にはAI条項が含まれていないとして却下を求めている。AI音楽はもはや「実験」の段階を超え、音楽産業のインフラとして確立されつつある。リスナーの皆様も、今後は「AI」タグ付きの楽曲をどう受け止めるかが、新しい音楽体験の鍵となるだろう。AISA Radio ALPSでは、こうした変化を常に先読みし、あなたに最適な音楽情報をお届けします。
