2026年7月、AI音楽業界は「生成」から「管理と信頼」への大きな転換期を迎えている。主要な動きとして、業界団体の自主的ラベリング制度の導入と、ストリーミングプラットフォームによる収益政策の変更が注目されている。
RIAAとIFPIによる自主的AIラベリング制度の発表
米国レコード協会(RIAA)と国際レコード産業連盟(IFPI)は、2026年7月10日、音楽トラックに対する自主的なAIラベリング制度の枠組みを発表した。この制度では、メタデータに以下の2つのラベルが表示される。
1. AI-Generated: テキストプロンプトからAIのみで生成された楽曲 2. AI-Assisted: 人間のミュージシャンが核心的な創作活動を行い、AIが特定の表現要素に貢献した楽曲
この動きの背景には、ストリーミングカタログにおけるAI生成コンテンツの急増がある。DeezerのAI検出ツールによると、2026年4月時点で同プラットフォームの毎日アップロードされる楽曲の44%が「AI slop(低品質なAIコンテンツ)」と分類されており、Apple Musicでもアップロードの3分の1以上が100% AI生成であることが確認されている。RIAAとIFPIは、ファンが音楽の制作背景を知る権利を尊重し、透明性を確保するための措置としてこの制度を位置づけている。
TIDALが完全AI生成曲の収益化を停止
同時に、ハイファイストリーミングサービス「TIDAL」は、2026年7月15日より、100% AI生成の楽曲に対するロイヤリティ支払いを停止すると発表した。これにより、完全AI曲はプラットフォーム上で聴取可能ではあるものの、アーティストやソングライターへの収益分配対象から外され、ファンへの直接販売も制限される。TIDALは、この政策が「人間によって作成、作曲、演奏された音楽」への報酬を維持するための重要な一歩だと強調している。
業界の今後:協働と透明性の重要性
これらの動きは、AI音楽が単なる「生成ツール」から、著作権や帰属が明確な「産業インフラ」へと成熟しつつあることを示している。Sunoなどのプラットフォームも透明性の重要性を支持しており、今後はAIと人間の協働(AI-Assisted)が主流となり、その適切な表示と収益分配が業界の標準となっていくと予想される。
AISA Radio ALPSでは、こうしたAI音楽の法制度やプラットフォーム動向を常に追跡し、リスナーの皆様に最新の情報をお届けしています。AIと音楽の共存について、一緒に考えましょう。
