2026年7月26日現在、音楽配信プラットフォームにおけるAI音楽の扱いを巡る動きが加速している。特に注目すべきは、ノルウェー発のハイレゾ配信サービス「TIDAL」が発表した新政策だ。TIDALは2026年6月29日、7月15日より「100% AIによって生成された楽曲」に対するロイヤリティ支払いを停止すると発表した。
この新規則により、AIのみで作成された楽曲はプラットフォーム上で「AI」バッジでラベル付けされ、アーティストやソングライター、プロデューサーへの収益分配対象から除外される。また、実在のアーティストになりすましたり、誤解を招くメタデータを含むコンテンツは削除対象となる。TIDALは「ストリーミング収益が、人間によって創作・演奏された音楽に報われるべきだ」と声明を発表し、人間が関与した協働的なAI利用は引き続き許可するとしている。
業界全体で「人間創作」の定義と収益構造の再編
TIDALの動きは、SpotifyやDeezer、Apple Musicなど主要プラットフォームが導入しているAI検知・ラベリング政策の一環である。Spotifyは昨年、スパム的なAI楽曲7,500万曲を削除しており、Deezerでは新規アップロードの約44%がAI生成と報告されるなど、市場の飽和が深刻な課題となっている。
一方、クリエイター側のAI活用は多様化している。クラウド制作プラットフォームLANDRの調査では、回答者の87%がワークフローのどこかでAIを使用しており、その69%が前年比で利用を増加させている。しかし、その使い方は「ステム分離やマスタリング支援」といった補助的なものから、プロンプトのみで楽曲を量産するものまで大きく分かれている。
著作権管理団体や政府も、AI学習データの許諾やクリエイターの権利保護について議論を深めており、2026年後半には主要な業界団体によるガイドライン改定が予定されている。AI音楽市場は2026年に555億ドル規模に成長すると予測されるが、その中で「人間らしさ」や「意図」を持つ作品がどのように評価され、収益化されるかが、これからの音楽業界の鍵となるだろう。
AISA Radio ALPSでは、こうした変革の最前线で活躍するクリエイターの声や、最新のAIツール活用術を継続的にお届けしています。リスナーのみなさんも、AIとどう向き合い、どう音楽を作るか、一緒に考えていきましょう。
