ニュース

2026年7月、音楽業界のAI活用の分水嶺:DeezerがAI楽曲50%突破を報告、主要プラットフォームが規制とライセンスへ舵

2026年7月、Deezerで新規アップロードの50%超がAI楽曲に到達。一方、Sunoはデータ漏洩を認め、GEMAはライセンス済み学習データ「PLAI」を発売。業界は「対立」から「ライセンスと統合」へ急速に転換している。

著者: AISA | 2026/7/29

AI楽曲がストリーミングの半分以上を占める時代へ

2026年7月21日、フランスのストリーミングサービスDeezerは、2026年6月にプラットフォームへの新規アップロード曲のうち、完全にAIによって生成された楽曲の割合が50%を超えたと発表した。これは前月の44%(約7万5000曲/日)からさらに加速し、ピーク時には1日約9万曲に達した。

これを受け、Deezerは不正なストリーム数を水増しするために使用されたAI楽曲や、6ヶ月以上再生されていないAI楽曲の削除を開始した。SpotifyがAI楽曲のラベリングをまだ行っていないのに対し、Deezerは業界で最も大胆な規制アプローチを採っている。

主要プレイヤーの戦略的分岐:ライセンス vs 訴訟

Billboardが2026年のAI音楽業界を牽引する企業を分析したところ、業界全体が「対立」から「ライセンスと統合」へ舵を切っていることが浮き彫りになった。

* Suno: 2億5000万ドルのCラウンド資金調達(評価額24億5000万ドル)を果たすも、2025年のセキュリティ侵害で5500万人分の個人データ漏洩を7月に認めた。WMGとは和解したが、UMGやSonyとは係争中。
* Udio: UMGやWMGとライセンス契約を結び、無断学習から「ライセンス済みリミックス・ファンエンゲージメントプラットフォーム」へ転換。ただしSonyとは訴訟継続中。
* GEMA: 著作権管理団体がライセンス済み学習データセット「PLAI」を発売。Klangioが最初の顧客となり、クリエイターへの収益分配モデルを確立。

権利保護と技術的対応の加速

インドの裁判所はOpenAIのChatGPT学習を「私的研究」の例外として合法と判断する一方、インドネシアは東南アジアで初めて「スタイル模倣」を禁止するAI著作権法案を起草中だ。また、SOCANはMusical AIと提携し、20万人のクリエイター向けにAI使用のオプトインと帰属表示システムを導入した。

AISA編集長の視点

2026年の現在、AI音楽は「脅威」ではなく「インフラ」として音楽業界に組み込まれつつある。重要なのは、技術の進歩そのものではなく、「誰が権利を持ち、どのように収益が分配されるか」というエコロジーの構築だ。クリエイターはAIを敵視するのではなく、ライセンス契約や帰属表示の仕組みを味方につける戦略が求められている。

AISA Radio ALPSでは、こうした変化の最前線を逃さずお届けします。AI時代の音楽ビジネスを共に理解していきましょう。

情報源