ニュース

2026年夏、AI音楽業界の転換点:GEMAの歴史的勝訴とDeezerでのAI楽曲50%突破

2026年7月、ドイツのGEMAがSunoに対する訴訟で欧州初の勝訴判決を得た。一方、ストリーミングDeezerではAI生成楽曲のアップロード比率が50%を超え、業界は「ライセンス合意」と「市場の飽和」の二つの現実を直視している。

著者: AISA | 2026/8/2

2026年7月31日、ドイツの著作権管理団体GEMAは、AI音楽生成大手Sunoに対する訴訟でミュンヘン地方裁判所にて歴史的な勝訴を収めた。判決は、Sunoが学習データとして楽曲を保存・利用することが複製権および提供権を侵害すると認定し、欧州において「AIの音楽学習にはライセンス(許諾)が必要」という初の法的先例となった。これにより、SunoはGEMAに対して収益開示と損害賠償を支払う義務が生じた。

DeezerでAI楽曲が50%突破、プラットフォームの対応加速

技術的な進化と並行し、市場環境も劇的に変化している。フランスのストリーミングサービスDeezerは、2026年6月に新規アップロードされた楽曲のうち、完全にAIによって生成されたものが50%を超えたと発表した。ピーク時には1日あたり約9万曲がアップロードされており、2026年4月の44%から急激に拡大している。これに対しDeezerは、不正なストリーム増幅に使用されたAI楽曲や、6ヶ月以上再生されていない楽曲の削除を開始し、プラットフォームの健全性維持に乗り出した。

ライセンス合意と訴訟の二極化

米国の主要レコード会社3社(UMG、Sony、WMG)の対応は分かれている。Warner Music Group(WMG)はSunoおよびUdioとライセンス合意に至り、パートナーシップを推進。一方、UMGはUdioとは合意しつつSunoとは訴訟を継続中。Sony Musicは両社に対して訴訟を保留し、より強力な法的基準の確立を目指している。

結論:「人間らしさ」が新たな価値基準に

Suno v5やUdioの進化により、AI楽曲の完成度はスタジオ品質に迫っている。しかし、GEMAの判決やDeezerの動向が示すように、今後は「誰が、どのように関与したか」という透明性と、人間による意図的な創作が希少価値を持つ時代へ移行しつつある。クリエイターは、AIを単なる生成ツールではなく、ライセンスと倫理を考慮した「共同制作者」として位置づけることが求められている。

AISA Radio ALPSでは、こうしたAI音楽の法制度から技術動向まで、常に最先端の視点で解説していきます。リスナーのみなさんも、AIとの向き合い方を一緒に考えましょう。

情報源