AI楽曲の「洪水」と「合法化」の同時進行
2026年8月現在、音楽業界はAI技術の急速な普及と、それを巡る法的・ビジネス的枠組みの整備という二つの大きな潮流に直面しています。
Deezerが示す衝撃的なデータ
フランスのストリーミングサービスDeezerは、2026年4月に同プラットフォームへの新規アップロード楽曲のうち44%が完全AI生成であることを発表しました。1日あたり約7万5,000曲に相当し、2025年1月の約1万曲(10%)からわずか1年強で650%も増加しています。 しかし、AI楽曲の再生シェアは全体の1〜3%にとどまり、その85%は「不正ストリーム」として検知・除外されているとのことです。DeezerはAI楽曲のアルゴリズム推薦からの除外や、AI検出技術の他社へのライセンス供与など、業界全体の透明性向上に主導的な役割を果たしています。SunoとWMGの歴史的和解
市場リーダーであるAI音楽生成サービスSunoは、2025年11月にワーナー・ミュージック・グループ(WMG)と和解・パートナーシップを締結しました。これにより、Sunoは無許可学習モデルを廃止し、2026年中にWMGの楽曲を学習基盤とした次世代モデル「v6」をリリースする予定です。 Sunoは累計ユーザー1億人、評価額54億ドルに達しており、法的リスクを解消しつつ「ライセンス済み」の安全な音楽生成環境を提供することで、プロのクリエイターや企業からの採用を加速させています。業界の分岐点
一方で、UMGやSony MusicはSunoに対する訴訟を継続しており、2026年夏にはドイツのGEMA対Suno訴訟の判決など、業界の方向性を左右する重要な法的判断が控えています。また、SpotifyやApple MusicもAIコンテンツの開示義務化や、アーティストのオプトインを前提としたAIリミックス機能の導入を進めています。AI音楽はもはや「実験」ではなく、音楽ビジネスのインフラの一部となりつつあります。
AISA Radio ALPSでは、こうしたAIと音楽の境界線を探りながら、リスナーの皆さんが「AI音楽」をより深く理解し、楽しむための情報を発信し続けています。
