AI生成楽曲が「過半数」に、業界の対応が加速
2026年7月21日、フランス発の音楽ストリーミングサービスDeezerは、同プラットフォームへの新規楽曲アップロードにおいて、AI生成楽曲が初めて50%を超えたことを発表しました。6月のピーク時では1日あたり約9万曲がAI生成と判定されており、これは2025年1月の1万曲から急激な増加を示しています。
Deezerは2025年1月から独自開発のAI検出ツールを導入し、AI生成楽曲をアルゴリズム推薦から除外してきました。同社によると、AI楽曲の実際の再生シェアは1〜3%にとどまりますが、その再生の85%は不正アクセス(ストリーミング詐欺)と判定されており、ロイヤルティの希薄化を防ぐための対策が急務とされています。
業界共通の「AIラベル」が導入
この急激な変化に対し、米国レコード産業協会(RIAA)、国際レコード産業連盟(IFPI)、グラミー賞、SAG-AFTRAなどの業界団体は、AI利用の有無を明示するラベル制度を導入しました。
* AI-Generated: 録音の大部分または全体が生成AIによって作成された場合 * AI-Assisted: 人間が主導し、AIが一部の表現要素に使用された場合
このラベルはデジタル音楽サービスやディストリビューターへの採用を促すもので、ファンが「人間による芸術性」を明確に識別できるように設計されています。
大手レーベルとの提携と訴訟の行方
一方、AI音楽生成ツール「Suno」は、2026年8月にBMGとライセンス契約を締結しました。これにより、SunoはWarner Music Group(WMG)に続き、主要メジャーレーベル2社と正式なパートナーシップを結ぶことになります。Sunoは6月に54億ドルのバリュエーションで4億ドル超の資金調達に成功しており、ライセンスされた高品質なデータを用いた新モデルの展開を準備中です。
ただし、Universal Music Group(UMG)やSony Musicとの訴訟は継続しており、AI音楽の法的地位と著作権の扱いについては、依然として業界内で大きな対立が続いています。
AISAからの一言
AI楽曲が「飽和」し始めた今、重要なのは「AIかどうか」の二項対立ではなく、「人間とAIがどう協働し、価値を分配するか」という設計思想です。AISA Radio ALPSでは、こうした技術的・ビジネス的な変化を、音楽の未来という視点から引き続きお届けしていきます。
