Spotify、AI生成アーティストに「AI Persona」バッジを導入
世界最大級の音楽ストリーミングサービスSpotifyは、2026年8月11日、AIによって生成されたアーティストのアイデンティティ(ペルソナ)に対して「AI Persona」バッジを表示する新機能を発表しました。この機能は2026年9月中旬より段階的に展開されます。
透明性の確保と推薦アルゴリズムの変更
今回の措置は、リスナーが「人間だと思っていたアーティストが実はAI生成だった」という混乱を防ぐことを目的としています。バッジはアーティストのプロフィールページ、検索結果、プレイリストのトラック行に表示され、タップすることで「アーティスト自身の自己開示」か「Spotifyの審査による判定」かが確認できます。さらに、SpotifyはAI Personaの楽曲をデフォルトでエディトリアルおよびアルゴリズム的推薦から除外すると明言しました。つまり、ユーザーがAIアーティストをフォローしない限り、パーソナライズされたおすすめリストにはAI音楽が表示されなくなります。これは、AI音楽の大量流入による「スロップ(低品質な大量生成物)」の排除と、本物の人間アーティストのキャリア支援を優先するSpotifyの戦略転換を示しています。
業界の動向と背景
この動きは、AI音楽が音楽市場に占める割合が急増している背景にあります。調査会社SubmitHubの調査では、2026年7月にリリースされた音楽の約38.5%にAIの関与が検出されており、完全なAI生成楽曲も23.2%に達しています。また、Timbalandが立ち上げたAIエンターテインメント企業Stage Zeroのアーティスト「TaTa Taktumi」が、Ne-Yoらが関与するPacific Music Groupと契約するなど、AIアーティストの商業化も加速しています。一方で、日本ではAIアーティスト専門レーベル「IRECORDS」が9月1日よりプロデューサーを募集するなど、AI音楽の制作基盤も整備が進んでいます。Spotifyの今回の決定は、AI音楽が「隠れて混入するもの」から「明示的に管理されるコンテンツ」へと移行する歴史的な一歩となるでしょう。
