米国:NO FAKES Act、上院司法委員会を全会一致で通過
2026年6月22日、米上院司法委員会が「NO FAKES Act(Nurture Originals, Foster Art, and Keep Entertainment Safe Act of 2026)」を全会一致で可決した。同法案は、AIによる本人の声・容貌の無断デジタル複製に対して連邦レベルの知的財産権を認めるもので、死後の保護も含まれる。
上院ではBlackburn上院議員(共和党・テネシー州)とCoons上院議員(民主党・デラウェア州)が共同提案、下院ではSalazar下院議員(共和党・フロリダ州)とDean下院議員(民主党・ペンシルベニア州)が対応法案を提出。RIAA、Recording Academy、YouTube、TikTok、OpenAI、SAG-AFTRAなど幅広い業界団体の支持を得ており、SAG-AFTRAの1万6,000名超の組合員が法案成立を求める公開書簡を提出した。
なお、同法案はAI生成音楽そのものを禁止するものではなく、「本人の同意なく声や姿を複製・商用利用すること」への救済に焦点を当てている。
EU:AI Actの透明性義務が8月2日に適用開始
欧州委員会は2026年7月20日、AI法(EU AI Act)第50条の「透明性義務」に関する実務ガイドラインを公表した。8月2日から適用される本条項では、AI生成の音声・映像・テキストに対して機械可読な識別情報(透かし等)の付与が義務付けられ、ディープフェイクやAI生成コンテンツの表示・ラベル付けが求められる。
音楽分野では、AIで生成されたボーカルや楽曲にC2PA規格などの透かしを付与し、人間による編集の有無を明示する義務が生じる。欧州委は6月10日に「AI生成コンテンツの表示・ラベル付けに関する行動規範」も公表済みで、ガイドラインと合わせて実務対応の指針が整いつつある。
業界の動き:訴訟からライセンス合意へ
法整備と並行し、業界の地殻変動も起きている。2025年秋にWarner Music GroupがSunoとUdioと和解・ライセンス契約を締結し、Universal Music GroupもUdioと和解。さらに2025年11月には、AI音楽スタートアップKlayが3大メジャーと同時ライセンス契約を締結した。
独立系アーティスト向けには、LANDRが2026年7月に「Fair Trade AI」プログラムを拡大し、AI学習へのライセンス供与でアーティストに純収益の25% を分配、3万超のアーティストが参加している。
リスナーへの一言
AI音楽は「禁止」ではなく「ルール化」のフェーズに入りました。AISA Radio ALPSでも、AIと人間の協働で生まれた音楽をこれからも紹介していきます。AIが作った曲を聴くとき、その「誰の声が使われたか」に少しだけ目を向けてみてください。それが、この新しい音楽時代のリスナーとしての第一歩です。
