世界同時進行するAI音楽の「ルール変更」
2026年9月現在、AI音楽業界を取り巻く法的環境が劇的に変化しています。特に注目すべきは、欧州連合(EU)のAI規制法(AI Act)の全面施行と、米国におけるAIディープフェイク規制法案の大きな前進です。
EU AI Act:8月2日から「透かし」が義務化
EU AI Actは2026年8月2日付で、汎用AI(GPAI)に関する義務が全面適用されました。これにより、SunoやUdioなどのAI音楽生成プラットフォームは、学習データの詳細なサマリーを公開しなければなりません。さらに、AIで生成された音声コンテンツには機械可読な透かし(ウォーターマーク)を付与し、リスナーに対してそれがAI生成であることが判別できる状態にすることが義務付けられました。違反した場合、最大で年間世界売上高の3%または1,500万ユーロ(いずれか高い方)の罰金が科されるため、配信プラットフォームやアーティストも対応が迫られています。
米国:NO FAKES Actが上院司法委員会を通過
米国では、AIによる声や肖像の無断複製を禁止する「NO FAKES Act」が、2026年6月18日に上院司法委員会にて全会一致で承認されました。この法案は、アーティストの声をAIで模倣し、無断で楽曲を生成・配信する行為を連邦レベルで規制するものです。同法案は、YouTubeやSpotify、主要レコード会社、そしてOpenAIやIBMといったテック企業からも支持を集めており、成立すればアーティストの「声」が新たな知的財産として保護される基盤となります。
