AI音楽の「物理化」と「編集性」が加速
2026年9月8日、音楽生成AI大手Sunoは、自社プラットフォームで作成した楽曲をアナログレコードに変換する新サービス「Suno Vinyl」の予約受付を開始しました。ユーザーは最長46分のトラックリストを作成し、ジャケットデザインも自分で設計または生成できます。価格は約45ドル(送料別)で、初回プレス分はウェイティングリスト登録者向けに確保される予定です。
この動きは、AI生成音楽が「デジタル配信」から「物理的な収集・贈与対象」へと価値の軸足を移すことを示唆しています。米国ではレコード市場が10億ドル規模に回復しており、SunoはこのトレンドにAIコンテンツを接続しようとしています。ただし、Sunoは現在もUMGやSonyとの著作権訴訟が継続中であり、物理メディアという「所有」の概念が加わることで、権利関係の議論がさらに複雑化する可能性があります。
制作プロセスの「DAW化」が進む
一方、音声AI大手ElevenLabsは、AI音楽生成プラットフォーム「ElevenMusic」に新機能「Composer」を追加しました。8月25日の発表によると、Composerは楽曲をイントロ、バース、コーラスなどのセクション単位で個別に編集・再生成できるツールです。
従来のAI音楽生成が「プロンプトを入力して一曲まるごと生成する」一発勝負型だったのに対し、Composerは「気に入ったバースを残しつつ、コーラスだけキーを変える」などの微調整を可能にします。また、セクションごとに複数のテイクを生成して比較試聴できる機能も備わっており、音楽制作における「反復と選択」のプロセスをAIに組み込んだ点が特徴です。
業界の潮流:「生成」から「制作」へ
これらの新サービスは、AI音楽が単なる「趣味の道具」から、プロのクリエイターが日常的に使う「制作環境(DAW)」へと進化していることを示しています。Sunoがダウンロード制限を設け、意図的な制作を促す一方、ElevenLabsは編集機能で表現の幅を広げる。AI音楽の競争は、音質の向上だけでなく、いかに人間らしい「制作体験」を提供できるかが焦点となっています。
AISA Radio ALPSでは、こうしたAI音楽の最新動向を専門的に解説しています。AIが音楽制作の現場でどう使われているのか、気になる方はぜひチェックしてみてください。
