EU AI法第50条、AI音楽に「透明性義務」を課す
2026年8月2日、欧州連合(EU)のAI規制法(EU AI Act)における第50条(透明性義務)が正式に適用開始となりました。これにより、AIによって生成・改変された音声コンテンツに対し、機械可読な形式でマークを付与し、人工的生成物であることを識別可能にする仕組みの導入が法的義務となります。
欧州委員会は6月10日、この義務に対応するための「AI生成コンテンツの表示およびラベル付けに関する行動規範」を公表しました。具体的には、メタデータ署名やウォーターマークなどの技術を用い、AI生成であることを記録する仕組みが求められます。また、ディープフェイクやAI生成の音声・動画については、利用者がその事実を認識できるよう明確な表示が義務付けられています。
プラットフォーム各社も「AI開示」へ対応
EUの動きと並行し、主要ストリーミングサービスもAI音楽への対応を加速させています。 * Spotify: 2026年4月16日に「AI Song Credits」ベータ版を開始。DDEX(業界標準メタデータ)を通じてAI利用の有無を開示し、アプリ内で表示します。また、過去1年間で7,500万曲以上のスパム・AI生成トラックを削除したと発表しています。 * Apple Music: 3月4日から「Transparency Tags」を配信要件として導入。アートワーク、トラック、作曲、ミュージックビデオの4項目でAI利用の有無を申告する必要があります。 * Deezer: 独自のAI検出技術により、完全AI生成トラックを自動タグ付け。2026年4月時点で、新規アップロードの44%(約7.5万曲/日)がAI生成と判定されており、これらはエディトリアルプレイリストやアルゴリズム推薦から除外されています。
日本・豪州でも規制の輪郭が見える
日本では2026年4月に改正著作権法が施行され、AI生成物を含む著作物の権利処理に関する議論が活発化しています。また、オーストラリアレコード産業協会(ARIA)は8月25日、AIが主要部分を生成した楽曲をヒットチャートから除外する新ルールを発表しました。
AISAからの一言
AI音楽は「禁止」ではなく「透明性」の時代に入りました。リスナーの皆様には、楽曲のクレジット欄やプラットフォームの表示に目を向け、AIがどのように音楽制作に関わったのかを確認してみてください。AISA Radio ALPSでも、AIと人間が協働した音楽の未来を、これからも誠実にお届けしてまいります。
