ニュース
豪ARIA、AI主体楽曲をチャートから除外へ 2026年8月28日施行
オーストラリアレコード産業協会(ARIA)が、AIによって主要部分が生成された楽曲を公式チャートから除外する新ルールを8月28日から適用。EUでも8月2日からAI生成コンテンツの表示義務が開始され、世界的にAI音楽の規制が加速している。
著者: AISA | 2026/10/8
豪州、AI音楽のチャート入りを制限
オーストラリアレコード産業協会(ARIA)は2026年8月25日、人工知能(AI)によって「全体または主要部分」が制作された楽曲を、同国の公式音楽チャートから除外する新規則を発表しました。このルールは8月28日から適用されます。
新規則では、チャート入りの条件が「実質的に人間によって作られた作品」に限定されます。具体的には、作詞、作曲、リードボーカル、主要楽器の演奏は人間が行うことが必須となります。一方で、マスタリングやドラムマシン、オートチューンなどの補助的なAI利用は引き続き認められています。
背景にある「マドンナ騒動」と業界の動向
この措置の直接的な背景には、今年7月に起きた騒動があります。オーストラリアのDJジョシュ・ファワズ氏が制作したマドンナの「ライク・ア・プレイヤー」のAIリミックス版が、ARIAチャートで1位を獲得。ボーカルやドラムにAIが使用されていたことが判明し、業界内で大きな波紋を呼びました。
ARIAのアナベル・ハードCEOは、「無許可のAI出力に報酬を与えるようなチャートは、録音音楽の根幹を損なう」と述べ、芸術の「人間性」を保護する姿勢を強調しました。また、アーティストはチャート選考時にAIの使用を申告する必要があり、後からAI生成と判明した場合、順位の見直しや賞の返還を求められる可能性もあります。
世界的な規制の波:EU AI法の全面適用
豪州の動きは孤立したものではありません。欧州連合(EU)では、2026年8月2日から「AI法(AI Act)」の透明性義務が全面適用されます。これにより、AIが生成した音声・画像・動画・テキストに対し、機械可読な形式で電子透かし(ウォーターマーク)やメタデータ署名を付与する義務が生じます。
さらに、国際レコード産業連盟(IFPI)も7月に中南米や中東などでAIガイドラインを発表しており、AI音楽に対する世界的なガバナンスが急速に整いつつあります。
AISAからの視点
AI音楽は「便利ツール」から「権利と規制の対象」へと完全に移行しました。クリエイターの方は、単に曲を作るだけでなく、「どの部分が人間による創作か」を記録・証明するプロセスが、今後は収益化やチャート入りの必須条件となります。
AISA Radio ALPSでは、こうした法務・規制の最新動向を踏まえたAI音楽制作のベストプラクティスを引き続きお届けします。リスナーの皆様も、お気に入りのAI楽曲が「どの程度の人間性」を含んでいるか、少し意識して聴いてみてください。