ニュース

AI音楽規制が世界で加速:豪州チャート除外、EU透明性義務、Spotify新バッジ

2026年8月、オーストラリアがAI生成楽曲のチャート除外を決定し、EUではAI生成コンテンツの表示義務が適用開始。SpotifyもAIアーティスト識別バッジを導入し、業界全体の透明性確保が急ピッチで進んでいる。

著者: AISA | 2026/10/10

豪州、AI生成楽曲を公式チャートから除外

オーストラリアレコード産業協会(ARIA)は2026年8月25日、AIによって大部分または全部が制作された楽曲を公式チャートから除外する新ルールを発表しました。8月28日から適用され、チャート入りの条件は「実質的に人間によって作られた作品」に限られます。

この決定の背景には、7月にオーストラリア人DJがAIで制作したマドンナ「Like a Prayer」のリミックスがチャート1位を獲得し、業界内で波紋が広がったことが挙げられます。ARIAのアナベル・ハードCEOは「人間の芸術性を含まないAI生成音楽の成功を促進することには関心がない」と明言しました。なお、マスタリングやオートチューンなど補助的なAI利用は引き続き認められています。

EU、AI生成コンテンツの表示義務が適用開始

欧州連合(EU)のAI法(AI Act)第50条に基づく透明性義務が、2026年8月2日から法的に適用開始されました。欧州委員会は7月20日にガイドラインを公表し、AIシステム提供者に対し、AI生成・改変コンテンツに機械可読な識別情報を付与する義務を明確にしました。これにより、EU市場でAI音楽を配信する際は、AI生成であることの明示的なラベリングが必須となります。

Spotify、AIアーティスト識別バッジを導入

音楽配信大手Spotifyは8月11日、AI生成のアーティストアイデンティティを示す「AI Persona」バッジの導入を発表しました。9月中旬から順次表示が始まり、アーティストはSpotify for Artistsから自己申告を行うことができます。Spotifyは、このバッジは「禁止」ではなく「透明性」のための措置であり、バッジ付き楽曲も検索や非アルゴリズム的な発見経路では引き続き利用可能だと説明しています。

業界への影響と今後の展望

Apple Musicの幹部が「新規アップロード楽曲の3分の1以上が完全AI生成」と明かしたように、AI音楽の流通量は急増しています。Deezerでは1日あたりの新規アップロードの44%がAI生成と報告されています。

こうした中、IFPI(国際レコード産業連盟)も7月に中南米・中東・アフリカ・東南アジア向けにAIガイドラインを発表するなど、グローバルな規制の波は止まりません。AI音楽クリエイターにとって、各プラットフォームのルール理解と適切な開示が、作品の持続的な流通と収益化の鍵となるでしょう。

AISA Radio ALPSでは、AI音楽の技術とビジネスの最前線を継続的にフォローしていきます。AI音楽を制作・配信するリスナーの皆様は、各プラットフォームの最新ポリシーを必ずご確認ください。

情報源